新作DVDにて観賞

解説
浜辺にバカンスに訪れた若い女性の失踪(しっそう)事件をきっかけに、人間の複雑な
内面が暴かれるヒューマン・ミステリー。
楽しいバカンスから事件後までの3日間を通し、残された登場人物たちがあらわにする不安や
エゴなどを映し出す。
監督は、本作でベルリン映画祭最優秀監督賞を受賞したイランの新鋭、アスガー・ファルハディ。
ストーリーの充実度もさることながら、男女の関係などについてのイランの文化や価値観も
興味深い。

あらすじ
テヘランからほど近いカスピ海沿岸のリゾート地に週末旅行へとやって来たセピデーたち
3組の家族。
そこに、セピデーに誘われ、たった一人で参加した若い女性、エリがいた。
セピデーには、エリに離婚したばかりの友人アーマドを紹介するという思惑があったのだ。
しかし翌日、エリは海岸で忽然と姿を消してしまう。
事故か、それとも何も言わず帰ってしまったのか。
必死の捜索が進む中、唯一彼女と面識のあったセピデーさえ彼女の本名を知らず、誰もエリの
ことを何一つ知らなかったことが明らかとなってくるのだが…。

イラン映画を観るのはこれが初めてである。ここに出てくるイランの女性たちがみな美しい。

また男たちも陽気である。ヨーロッパの休日のように週末旅行で家族、親類で集まりキャンプ

をする姿が中東で見られようとは。

欧米化の波がこの国にも押し寄せてるのだろう。

物語は一人の女性、エリの失踪に端を発し、展開していく。エリは婚約者だが、結婚に

踏み切れないでいた。その事実を知ってるのは友人のセビデーだけである。セビデーは離婚

したばかりの友人アーマドとくっつけたいという思惑があり、まわりもそれを期待していた。

一泊だけの約束だからとバスで帰ろうとするエリをセビデーは引き留め、子どもたちと浜辺で

凧揚げをしてほしいと頼む。楽しそうに凧揚げに興じるエリだったが・・・

男の子がおぼれかかっていると女の子が知らせるところから急展開。男の子は無事、助け出

されるが、一方、エリは見あたらない。

必死に探すセビデーの家族たち、でも行方はわからないままだった。

その後、エリのことを知ってるはずのセビデーでさえ、ほんとのことを知らないことがわかる。

エリを探しきれない焦りと不安が家族の和を壊しはじめるのだった。そして責任のなすり合いが

始まる。

コテージの中で繰り広げられる心理劇は、法廷劇のような緊迫感があり、映画としての完成度も

高かった。

大きな劇場での公開がなかっただけに、是非、DVDで観賞してほしい映画である。

A Day In The Life