出産までの出来事についての続きを書きます。

いつも通り妊婦健診に行って、胎児機能不全と診断されるまでの数時間の記録です。

 

妊娠中で心配事を増やしてしまいそうな方はスルーしてくださいねショック

 

 

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30週の定期健診の日。

 

前日まで大きな胎動があったのは確かだけど、今日ちょっとおとなしいかな?と思いつつ、お腹に意識を集中するとたまにポコっと動くので、あまり心配せずに健診の順番を待っていました。

 

たまたま予約がとれた、人気の産科部長に初めて診てもらう日でした。待ち時間に助産師さんと面接があって、30週前後の妊婦さんに指導しているという胎動表をもらいました。

 

 

- 健診 -

 

とてもキビキビとした先生でした。夕方までたくさんの妊婦さんやお産を診てきて、疲れている時間帯のはずでしたが、初対面の私に的確な質問を色々されました。

自宅安静の原因となっていた子宮頸管長は、正常の長さに回復していました。ホッとしました。

 

そしてエコー。モニターに映った赤ちゃんの心臓はいつも通り動いているように見えました。でも部長先生が、じっと診て、さらに赤ちゃんの心臓の音が聞こえる機械をあてて「ドッドッドッドッ」という馬の走るような心音を確認。旦那さんも一緒に音を聞いてくれました。

 

今回の健診は検査方法が違うのかなと思っていたら、先生が口早に周りのスタッフに指示を出していて、別部屋で本来ならもう少し先の時期に行う、NST(ノンストレステスト)という胎児の心拍を計る検査をすることになりました。

 

装置を付けたとき、赤ちゃんの心拍の数値は180でした。(※あとで調べたら、正常値は110〜160bpmだそうです。そしてのちに不育症のドクターに聞いた話では、徐脈があったあと、反動で脈が早くなるのだそうです。)

胎動があったら押してくださいと渡されたボタンは、いつもより動きが弱いなと思いながらも20分で10回くらい押しました。

 

その検査中に、1回心拍数が100くらいまでが落ちて回復した記録があったそうで

「問題ないことも多いし、大丈夫なら明日帰れるから、念のため入院して検査を続けましょう」

と、急遽入院が決まりました。

 

先生が、念のためだからと優しく言ってくれたのもあり、きっと明日には帰れるだろうと、思っていました。

 

 

- 健診から1時間10分 -

エレベーターですぐ病棟に案内して頂き、4人部屋のベッドで入院の書類を書いて、旦那さんが歯ブラシなど必要なものを買いに行ってくれました。入院の理由の欄には、「胎児機能不全」と書かれていました。

(なんか、物々しい理由だなぁ。さっき推定体重1800gって言われて、大きく順調に育っているのにな)

って思いました。

 

「赤ちゃん心配だから」という看護師さんの一言で、着替える間もなくNSTを再度始めました。心拍はやっぱり180でした。もし100以下になったらナースコールしてくださいねと言われて見ていたら、しばらくして100以下に下がったので慌ててナースコール。

 

4人部屋は満室で、他の方はカーテンの仕切りの向こうで夕飯中のようでした。とても静かだったので、入院して早々バタバタして悪いな...と思いながら、ナースコールで

「心拍100を切りました」

と伝えました。

 

 

- 健診から1時間30分 -

看護師さんが走って来て、その方がさらにナースコールで応援を呼んで3〜4人の看護師さんが色々持って走ってきて、部長先生も外来から飛んできてくれて、順番をよく覚えていませんが、いつの間にか酸素ボンベがついて、点滴がついて、足を圧迫する靴下をはいて、貸してもらったパジャマじゃなくて手術着みたいな服に着せ替えられていました。赤ちゃんの心拍の数値は下がってもまた上がり、上がったり下がったり。

 

「赤ちゃんが苦しいとき、酸素を届けられるのはお母さんしかいないので、深く息を吸って吐いてください!」

と言われて、酸素マスクで深く呼吸しながら、

(あ、お母さんて私か!)

と、このとき思いました。外来では苗字で呼ばれていたけど、病棟ではお母さんて呼びかけてくれるんだなって妙に冷静に思いました。

 

旦那さんが戻ってきたタイミングで、ベッドごと別室に移動になりました。さっきまでピンピンしていた私が、突然たくさんの管に繋がれて酸素マスクを付けていてびっくりしたと思います。

 

でも、そのとき私はどこも痛くありませんでした。お腹の赤ちゃんも昨日までスクスク育っていたはずです。それなのに、突然赤ちゃんの具合が悪くなっているのが訳がわからなくて、看護婦さんに

「私どこも痛くないんです」

って言ったとき、

「こういうとき、お母さんにはどこにも症状が出ないこともあるんです!深く息を吸ってくださいね!」

と言われて、私は元気でも、事態は深刻なんだと思い始めました。

 

酸素を吸っても吸っても心拍の数字が下がる時、とにかく下がった心拍がまた戻ることを願いながら数字を睨むしかできませんでした。