にちようび企画第五回公演
多分、行けたら行きます

日本橋にあるインディペンデンスシアター1stでの
23日の11時の公演を観てきました。

わたしはいつだって、
物語の中心に立つことができない。
物語の中心に立つことができない。
余計な傷を負ってしまうくらいなら
目立ったりせず、誰かの脇役としてひそやかに。
ササキザキ サキは、今日もその一心で
婚活アドバイザーとしての仕事を淡々と片付ける。
本日の締め括りとなる業務は
過去三度も担当を変更している婚活男性との顔合わせ。それさえ終われば予定通りの定時退勤。
今日もいつもと変わらぬ平凡な一日が過ぎていく ・・・はずだったのだ。それなのに。
その騒々しい婚活男性の来訪が
サキの平凡を大きく揺るがすこととなる。
彼の名は、シュウゼンジシュウジ。
結婚願望の有無すら怪しいその男の言動に
サキは戸惑いながらも相槌を打ち始める。
この時、サキはまだ知る由もなかった。
シュウゼンジの過去に潜む十八年前の殺人事件と
彼を執拗に追い求める追跡者の存在。そしてまさか、あろうことかサキ自身が今、
全く無関係の復讐劇に巻き込まれようとしていたなんて。
やがてサキは成す術もなく
膨れ上がった一方的な誤解に翻弄されながら
それでも諦めまいと声の限りに叫び続けるのだった。
普通の幸せな家庭。突然の父親の死亡、しかも原因は浮気中のホテルでの火災。
幸せは、一瞬にして崩れ
家族との想い出をたくさん作ろうとしていた母ササザキサナエ(松浦 由美子)は、その想い出すら消し去ろうとする。やがて母は苦しみに耐えきれず自ら…。
娘のサキ(つちはし ゆう奈)は、叔母のセセシタセセミ(坂口壮登)と暮らし始める。
サキにとっては唯一の心許せる叔母のサキ。
だが、その生活も長くは続かずサキは腎臓の病気で亡くなってしまう。

婚活を行うシュウゼンジシュウジ(田代 圭佑)、シュウジが父親と呼ぶ殺人犯として逮捕されたソガノソウジロウ(福嶋 将人)
シュウジを執拗につけ狙うスナジマユウマ(浜崎 聡)と妹スウコ(猫柳 ルカ)
話しが進むにつれ、登場人物全てがが不幸自慢をしているかのように思えるくらいの
暗い話しになってきた。
婚活という以外で何も関係無さそうなこの人たちが、実はサキが小さい頃(清水 春香)に出会っており
その想い出が、ソウジロウが撮っていたビデオと共に繋がっていく…。
舞台にいるセセミが、既に亡くなっているサキが作り出した偶像であるとわかった時、
それまで違和感を感じていたユウマの妹スウコの存在もそうなのではないかと気づいた。
そしてこの偶像のおふたりの存在と演技が絶賛に値すると思った。
もちろん主の話しはサキやシュウジ、ユウマの「なにがあろうとも、過去だけは、不変だから」というのがあるのでしょうが
時には微笑ましく感じる場面や悲しく涙ぐむような場面などこの物語に厚みを与えていたように思う。
暗く感じた話し。
それが最後の「豚の角煮」というワードが出た時、妹スウコの台詞はない場面ではあったがその微笑んだ瞬間、ユウマの気持ちが変わった瞬間であるのはもちろん
この物語全てが良い話しにと変わりました。
ひとりひとりの台詞、丁寧であり聞き取りやすかった。
そして、こんなの覚えられないと思うほど長い。
が、覚えていることもビックリなのですが
その台詞を喋っていない人たちの「待ちの演技」(こんないい方をするのかは知りませんが)
スウコの優しい微笑みもそうでしたが、その演技が良かったです。
椅子が4席だけ置かれている舞台、大道具を使わないこのようなシンプルな舞台ではより役者さんの力量が見えますね。
多分、行けたら行きます。ではなく行って良かった。
いつかは写真などだけでなく、関わった人たちの記憶からも消えていく想い出という名前の過去の出来事。
でも、想い出をたくさん作ることが生きる意味だと思っています。
名前がサシスセソだらけなのはまだ意味があるのだろうか?(笑)