大阪の港区波除にある「世界館」

大阪俳優市場
2017春

「せりなつお花見クルーズ」のあとに行って来ました。





大阪俳優市場とは…

若手俳優の育成と発掘 若手俳優の育成と発掘を目的としたもので、
売り出し中の芸能事務所各社イチオシの若手俳優、  女優を舞台を通して芸能関係者にアピールするものです。

3人の演出家からなるオムニバス公演

年に2回公演があり、1人だけではなく全員が主体となった形で、3人の演出家からなるオムニバス形式の3つの話(今回は4話)を若手俳優、女優が演じます。

若手俳優、女優発掘の場所
芸能関係者にとってはこれから芽を出す、これから輝く俳優、女優たちを見つける絶好の機会です。 
また、若手俳優、女優達にとっては自分をアピールするまたとないチャンスです!!

という若い人たちの舞台です。

今回の4話を通じてのテーマは
「スタート」

はたしてどんなストーリーが展開されたのでしょうか?

簡単なあらすじと、観た感想などを書いてみたいと思います。

パンフレットには役名は書かれてなく、覚えるのも苦手なので役名を勝手につけたり
台詞もこんな感じだったかなぁと変えております。
もちろんキャストによっても受ける感じが全く変わりますので観賞したキャストも書いておきます。



第1話
「ゴースト・デート」




作・演出 森健太郎(LEVEL_E)

Bキャスト

コーヒーショップでコーヒーを飲むふたり。

キャピキャピの女の子とちょっと突っ張ったような感じの女の子。

ふたりは親友。そして間もなく高校を卒業するらしい。

進学するふたりの目標は彼氏をつくること。

でもキャピ子(実際にはこんな名前ではありません)には、憧れていた男の人がいたと言う。


ふたりの会話は終わり、先に席を立つキャピ子。

ヤンキーっ子「私はもう少し休んでから帰るわ」

ヤンキーっ子と別れ、キャピ子が店を出た瞬間

激しい車のブレーキ音、そして
救急車のサイレンが!!


1週間後
ふたりが現れる。

だが何かが違っていた。

そうキャピ子は幽霊だったのです。

自分のことを真剣に思ってくれていた人にだけ私の姿は見えるの」
そう言うキャピ子。

そして、この世に未練があるものは成仏出来ないという。

憧れていた彼を完全に諦めるか、デートが出来れば成仏出来ると思う。
だから、私の代わりにデートをして!」

ヤンキーっ子「だけど何処の誰かもわからないんでしょ?」

キャピ子「だから、この1週間で調べてきたんじゃないの。この体だとどこでも行けちゃうんだから」




キャピ子の代わりに彼にデートを申し込みデートに行くことには成功したが…



やがてヤンキーっ子も彼のことを…。





ここからは何の経験もない単なるおじさんの感想です。悪意はありません。
そのつもりでお読みください。

新学期・新学年を迎える季節。「スタート」というテーマにはぴったりなストーリーです。

恋の始まりという意味でもぴったりでした。

ストーリー自体はよくある話の流れだと思います。キャピ子がヤンキーっ子に自分の代わりにデートをしてくれと頼む時点ですべての話がよめてしまいました。

彼も、彼女のことが好きであったことがわかり
そこでキャピ子の姿が見えるようになるという展開、これは少し意外(いい意味)でしたが
それ以外はよくある設定のような気がします。

それだけに出演者の技量で魅せなければいけないお芝居だと思います。

おおまかには伝わりましたが、もっと心をうつような演技(声の抑揚や細かい仕草)、メリハリが欲しかったです。






第2話
「小さな小さなお茶会」





作 ほさかよう
演出 田所工作

Aキャスト


学校帰りの高校生敬太、ふと腰をおろして座っている背後から
年齢不詳の美人ジャスミンが現れる。

彼女は小さな鞄から銃を取り出し
「私は今からあなたを誘拐します」

こんな場面からこの物語は始まりました。





弁天町にある小さな喫茶店。
ここが今回の舞台。

中年のいかにもブサイクではあるが優しそうな店長と思われるような男性
そして、大学生くらいの店員らしい可愛い女性が働いています。

テーブルがふたつ。

ひとつのテーブルの席には、見るからに気の弱そうな若い男性亀山がテーブルで珈琲を飲んでいます。

本を読んだり何かをするわけでもなく…。

店長が若い男性のところに近づき、恋の話を始める

「いきなりですみません」店長は何かを楽しんでいるようだ。

「一言を言うと、ひとつの行動をすると始まることがある」

どうやら彼は店員の若いコに恋していて、彼女以外の店員はみなそのことには気づいているのだ。

「そんなんじゃありません」彼は否定するが…



朝から5時間以上も2階の席でコーヒーを飲んでいる中年の女性。
時々1階に降りてきては、キョロキョロ…

「あの~」店長が声をかけると

ビックリした表情に変わり「何でもないです。お代わりをいただけますか」と2階に帰っていく。

この姿を見て女性店員は、「きっと彼女は店長に会いに来てるんだ」と言い出す。



誘拐された高校生と、この喫茶店との関係は!?

気の弱そうな青年は彼女に告白できるのか

2階の女性は本当に店長に恋してるのか?

など、たくさんの謎を解き明かして行く展開のストーリーと

店長と店員、2階の女性とのやり取りで思わず「ぷっ」と笑ってしまう場面
高校生と誘拐犯、2階の女性とその娘との絡みで思わず涙ぐんだり
考えさせられる場面など

いろいろなモノがバランスよく入ったとてもいいお芝居だったように思います。

この他の出演者、男性店員のあきらとその彼女りさこの関係や、亀山の先輩えりなの存在もストーリーの中でよいアクセントとなっていたように思います。


亀山くんが好きになった喫茶店の店員役を演じた夏目莉衣ちゃん(向かって左)

このお店の店員で、亀山くんの先輩でもあるえりな役アンけいこちゃん(向かって右)



夏目莉衣ちゃんが演じる店員役が、一番演じ方を変えられる役じゃないかと思います。

今回の彼女は高嶺の花のイメージではなく身近にいる素朴な感じの少しドジっぽい役になっていたと思います。

姿勢や動きにも工夫が見られてましたね。

ふと、美人で高嶺の花のような女性でもストーリー的には面白いのではないかなんてことも考えちゃいました。



えりな役のアンちゃんは、本当にどこにでもいる今どきの気さくな女の子役でしたが

始まるまでは、喋り方などに特徴があるコなので舞台では役柄が固定されてしまうのではと、心配していましたが

存在感もあり

このお芝居では地に近い役でしたがもっと違う役でもやれるんじゃないか、

やったら面白いのではという期待に変わりました。


この話の中で一番心を射たれたのは、2階にいた女性と娘の会話。

娘が、母親に淡々と言い聞かせていく場面。

思わず自分は子供にちゃんと出来ているのかという疑問を改めて考えさせられました。

冷静で頭のいい娘という役というのがとても伝わり、台詞も心に入ってきました。

残念だったのは、敬太くんとジャスミンさんの場面。
ここでもうひとつの山を作れたはずなのですが、敬太くんの盛り上げが弱かったように思います。

ジャスミンさんはこのストーリーの頭に出てくるため興味をもってもらうためでしょうか、若い女性の印象になっていましたが

どうしても設定に無理が出来てしまい役としても難しくなりました。

全体の出演者の殆どが若い方で仕方がないのかもわかりませんが、せめて服装や化粧だけでもそういう工夫が欲しかったように思います。

でも、今回の4話の中では私の中では文句なしに面白さも印象も一番でした。




第3話
「天使にアイドルソングを」



作  森健太郎(LEVEL_E)
演出  田所工作

Aキャスト

この舞台は小学校、今や小学生のアイドルも数多く活躍する時代ですね。

学校ですら「アイドルコンテスト」なるものが行われるようです。

アイドルを目指す3人組の女の子。

そしていかにもおとなしそうなふたりの女の子。

もちろん3人組はこのコンテストに参加するようだ。
そして、参加するための衣装の製作をおとなしいふたりの女の子に頼んで(半ば強制)いる。

が、断ることすら出来ないふたり。





突然現れる白い衣装に頭に輪っかがある2人組。

天使?そう彼女たちは天使です。

この天使たち、「今、自分を変えたい」と本当に願っている人にしか見えないらしい。

私には見えた、少なからず人は「今の自分を変えたい」とは思っているものですよね

おとなしそうなふたりにも天使の姿は見えた。

自分たちも「積極性をもって輝きたい」と思っていたのだ。



この後に出てくる(見えなくても)人の前で踊って歌いたいと願うこの天使たちの上司主天使とユニットを組み

ダンス・歌の特訓が始まる。

元アイドルを師としての練習、段々と彼女たちは輝き始める…

そして、コンテスト。

見事な歌とダンス。主天使をセンターにして発表する。

「自分が変えられた人からは見えなくなる…」、その前に天使たちは静かに去っていく。

このお話だと、もっと笑いが起こるような内容になると思うのですが

出演者がほぼ小学生(?)というのもあるのか
ダンスはとても上手なのですが主天使の子とふたりくらいの子だけで、演技は…
申し訳ないですが単なる発表会という感じでした。

お芝居とは関係ないのですが、ダンスをしている時に、通路で1~2歳くらいの子どもさんが音に合わせて踊っていたのがものすごく可愛かった。







第4話
「きよしこの夜」




作  ほさかよう
演出  中井敬二

Aキャスト


ボールと戯れる猫

この猫が出演者たちの紹介をしていきます。

両親を早くに亡くした姉妹たちが住むこのお家。

優しい長女、酒好きの次女、ヲタクな三女、空手の有段者四女、そしてしっかりモノの五女。

どうやら今日はクリスマス前日のようです。

クリスマスパーティーの準備に追われる長女。お家には五女も。

が、次から次にと他の姉妹からは「パーティーには遅れる。デートだから」との連絡がはいる。

もちろんこれは嘘。

彼女たちには彼氏はいない。

ではなぜ?

クリスマスパーティーになるとやたらと盛り上がる、そんな長男のことを思い出すのが嫌だという。

彼は事故で…、そんな彼を思い出すからクリスマスパーティーはしたくないと思っていたのだ。

この日家に迷い混んできた凍えている猫、長女は猫アレルギーなのだが五女の願いをきき1日だけ(クリスマスイブ)ならということで、泊めることを許す。


彼がいない姉妹たちがやがてすることもなく、帰って来た。

そこでは、長女と長男の彼女が準備したツリーと料理が(長男の彼女は料理がヘタで全てを焦がしてしまいましたが)!

そして、このパーティーで彼女が用意していたものは…

これで彼女たちは何をすべきなのかに気づく。


そして、クリスマスパーティーの時に長男が言っていた言葉も

「クリスマスの時に猫になって帰ってきたい」





長男の名前が聖(たぶんこの字かな)、そして姉妹の名前が全て数字が使われていて解りやすい。

姉妹も全て個性が違っていて面白かったですが、もっとキャラクターを誇張してもよかったのではと思います。

四女が頼んだ彼氏役のコにビンタをする場面、あれは遠慮したらいけませんよね。
あくまでも男勝りな女性役なのですから。

ラストは個人的には、長男の彼女が簡単にショップの店員さんと仲良くなってはダメですよね。
「いい人が出来たらそっちに行く」って言って笑いを誘うのはいいですが、

いくらテーマが「スタート」でも
「もう少しだけ待ってもらえますか?」とか
「これからはどうなるか分かりませんが、一歩は踏み出せそうです」

くらいにしてもらった方が、話の余韻が楽しめるように思います。


一番の謎
なぜ、2017春の公演でクリスマスの話?




写真を撮らせていただいた長男の彼女みどり役の清堂ココロさん


お見送りの時に挨拶させていただきましたがとても良い感じの方でした。



下手な文章力で、何も感じることが出来なかったかもわかりません。

でも、少しでも舞台というものに興味を持っていただければありがたいと思います。


わたしもひとつの舞台から始まり、そこで出会った人
そんな方たちの他の舞台を観るようになったことで舞台観賞が好きになりました。

大きな舞台ができる場所は限られてはいますし、値段も高いです。
でも大阪では意外と小さな場所でもお芝居をしている場所は多いんです。

そんなこともみなさんの舞台をみるウチに覚えるようになりました。

1度でいいです。舞台を観てください、そして感じてください。