Maple Leaf・楓の葉は、
モチーフとしてカナダの国旗にも用いられるカナダを代表する木です。
そして、そのMaple treeの樹液(sap)を煮詰めて濃縮させたものが
メープルシロップです。
私はカナダに留学するまで、
メープルシロップはパンケーキにかけるくらいだったのですが、
メープルシロップの使い道は沢山あり,しかも健康にいい!
ということから、私自身がメープルシロップの魅力にハマりました。
メープルシロップをお土産でもらったけど、
使い道に困っているということはありませんか?
1.メープルシロップの木
実は、メープルシロップの多くはカナダの中でもケベック(Quebec)州が生産の8割を占めている言われています。
現在流通していメープルシロップを作ることのできるAcer 種には2つあります。
1.サトウカエデ(学名:Acer saccharum)
2.ベニカエデ(学名:Acer rubrum L.,別名:Red maple)
どちらも北米に自生することから、北米でのメープルシロップが有名になったのです。
このような理由から、メープルシロップの生産が主に北米に限定されています。
また、メープルシロップが世界中どこでも作ることができないのは、
気候や土壌からカエデの木が育つかどうか?が非常に重要ですし、木なので土地の広さも必要です。
私が留学していたアルバータ州には、メープルの木は見つけられない。と、
ケベック州出身で自分はメープルシロップで育った!というほどメープルシロップを愛する彼が言っていました。カナダ国内でも、育つ場所が本当に限られている。
メープルシロップと同様に、砂糖よりも健康的であることで人気のはちみつは、みつばちと花の蜜があれば比較的狭い場所でもはじめられるので、世界中色々なところで生産されていますよね。
近年、メープルシロップも栄養価が高い甘味料として注目され始めていますが、まだまだ分かっていないことが多く、研究者たちがその効果に着目して研究が進められているところです✨研究と聞くと、元研究者の血が騒ぎます!笑
2.メープルシロップの種類
メープルシロップは、
濃縮する時間や光の透過率によって定められているグレードの基準が異なります。
2014年までは、
■アメリカでは
Grade A(light:軽い)
Grade B(dark:濃い)
Grade C(very dark:すごく濃い)
■カナダでは
Canada No.1(light~mideum:軽い~中程度)
Canada No.2(amber:琥珀色)
Canada No.3(dark:濃い)
に分けられていました。
しかし、欧米社会での学校での成績の付け方はGrade A、B、Cに分けらることが多く、それに従うと、メープルシロップも用途や出荷までの過程が異なるだけでどれも素晴らしいもののはずなのに、Grade Aが最も美味しい!というイメージになりがちでした。
そこで、2015年からすべてをGrade Aとしてその下に色の分類をすることにしました。
このように、種類によって使用用途が変わります!
濃い方は、甘みというよりもコクを出す時に料理に使用するといいかもしれません。
通常、お土産でもらったりスーパーで手に入るものは【Grade A: Amber rich taste】くらいのミディアムが多いのではないかと思います.
私はお料理でも、ちょっとした時にお砂糖代わりに使用しています。
ケベック出身の彼は、コーヒーに入れるお砂糖の代わりにメープルシロップをいれていますよ!
しかし,すべてのメープルシロップ生産者がこれに従っているわけではないので、店頭では旧表示で示している商品もあるかもしれません。
(調べていないので、はっきりとしたことは言えませんが...)
私が2017年にカナダで愛用していたメープルシロップ(写真:下)は[CANADA No.1 Medium]となっています。 これ、リーズナブルで場所も取らないし、とても使いやすかったです。お土産屋さんで買うと割高ですが、こちらはスーパーで売られていて値段もお手軽でした!
3.メープルシロップの栄養
実は、メープルシロップは1年中取れるわけではなく、
冬から初春にかけての寒い夜と暖かい日中が凍結と解凍のサイクルを繰り返す時期が、樹液の流れを促進します。
天然の樹液には、
✓ 炭水化物(スクロース、グルコース、フルクトースなど)
✓ ビタミン(リボフラビン、ナイアシン、チアミンなど)
✓ ミネラル(K:カリウム、Ca:カルシウム、Mg:マグネシウム、Na:ナトリウム、Mn:マンガン、Al:アルミニウム、Zn :亜鉛、Fe:鉄 など)
✓ オリゴ糖
✓ アミノ酸(アルギニン、スレオニン、プロリンなど)
✓ 有機化合物(フマル酸、マレイン酸など)
✓ フィトホルモン(アブシシン酸など)
✓ フィトケミカル
など多くの健康に良いとされる成分が豊富に含まれています。
4.メープルシロップの効果
多くの栄養素から健康に良いビタミンやミネラルが豊富に含まれることは分かっていただけたと思います。では、実際の健康への効果はどれくらい知られているのか?
現在までに
・白砂糖、黒糖、はちみつ等と比べて低GI食品である
・抗酸化作用
・抗炎症作用
・大腸がんへの予防効果
ということが知られています。
2014年までの研究では、少なくとも33のフィトケミカルが天然のメープルシロップに含まれていることが分かっています。(1、2)
*フィトケミカルとは?
植物に含まれる健康に影響を与えるかもしれない化合物のことで、良い成分ばかりではなく、毒となる成分もこの定義では含みます。しかし、現在”フィトケミカル”として注目されている成分の多くは、野菜や果物の色素や抗酸化作用、抗がん作用をもつなどポジティブな作用を持つものが多く、メープルシロップに含まれるフィトケミカルも予防効果の高いフィトケミカルです。
最新の研究では、メープルシロップの抽出物が、
2型糖尿病モデルマウスの肝障害を軽減することが発見されました。(3)
さらに、ヒト大腸がん細胞を用いた実験で、濃度の濃いメープルシロップが大腸がんの予防効果がある可能性*を示しています。(4)
*必ず効果があるとは言い切れません!効果があると結論づけるには、より多くの実験・データが必要です。
はちみつは、加熱で死滅しない土壌に常在するボツリヌス菌が含まれているため、
腸内環境が未発達の幼児にはボツリヌス菌が毒となって乳児ボツリヌス症となってしまう事があります。
一方でメープルシロップは、ボツリヌス菌が含まれる心配はありませんし、製造過程で樹液をグツグツと煮詰めているので、はちみつよりも安全に、お砂糖よりも健康に赤ちゃんに食べさせる事ができます。
ただし!他の食物と同様にアレルギー症状を起こす可能性もないとは言い切れないので、必ず少量から、適度に食べさせることが重要です。
このように、メープルシロップはカナダを代表する甘味料ですが、健康にも良いことが分かります。
もし、お土産でもらったメープルシロップが余ったり、どの甘味料を使おうか迷っているという時は思い出してみて下さい!
【参考文献】
(1) Li L., Seeram N.P., J. Agric. Food Chem., Jul 27;59(14):7708-16 (2014).
(2) Zhang Y., Yuan T., Li L., Nahar P., Slitt A., Seeram N.P., J. Agric. Food Chem. Jul 16;62(28):6687-98 (2014).
(3) Toyoda T., Iida K., Ishijima T., Abe K., Okada S., Nakai Y., Nutr. Res., Jan;73:97-101 (2020).
(4) Yamamoto T., Nishita T., Taga A., Oncol. Lett., Mar;17(3):2713-2720 (2019).