プロローグ
会社での飲み会の後、トモちゃんの当時のマンションに
泊まることになった。
何の話の流れからか、アユちゃんが広島の原爆記念館の
話を始めた。
私は広島には行った事がなかったのだが
突然、頭の中に半身がえぐり取られた血まみれの
男の映像が見えた
驚いたと同時に、こんなことができるのは
トモちゃんしかいないと思い
「いきなり変なもの見せないで」と苦情を言った
ところがトモちゃんは、私の仕業だと思っていたらしい。
結局、犯人はアユちゃんだということが後からわかり、
更に、アユちゃんには、自分が記憶したものを
鮮明な形で他人に送る、もしくは、他人の記憶の映像を
鮮明に第三者に送るという特技があることが判明したのだ。
むろん、本人に自覚はない。
いるだけで勘の強い人なら読取る(受取る)ことができるのだ。
でも、これは後からわかったことだから、その時点では
絶対にトモちゃんが怪しいと思っていたのだ。
さて、どこでどう話の内容が変化していったのかわからないが、
私が昔から気になっている夢の話になった。
私は昔から何度も同じ夢を見る。
同じ夢といっても、登場人物は同じで、同じ場面もあれば、
幼かった頃のものだとか、場所が違っていたりもする。
それも、時期的に頻繁に見るというものではなくて
1~3年経った頃に見るという風な感じだ。
夢を見た後は、とてもつらい思いをする
何かをしなければいけないのに、それが何なのかがわからない。
更に、それが出来ないことも知っている。
夢から覚めたときには、そのむなしさのためか必ず泣いている。
登場人物の一人は、自分である。
顔も服装も時代も、まったく違うけれど、自分なのだ。
当時の自分の愛称も知っている。
更に、夢に出てくる相手の愛称も知っているのだ。
そんなことから、これは前世の記憶ではないかと疑っていた。
実際に、ある占い師の所に会社の転職の時期を聞きに行った時
いきなり、夢の内容をベラベラと話されてギョっとしたことがあった
300年も前の記憶に縛られてかわいそうにと・・・
これは、私にとって一番、強烈な夢であって、この夢のせいで
結婚を2度破棄したことがある。
これは、私が前世だと思っている夢の1つであり、
あと2つ、前世だと思っている夢がある・・・
その一つが、トモちゃんに絡んでいるのである