思わせぶりなタイトルだけど男の事じゃないです(^◇^;)
長い独り言なのでスルーしてねぇ~
君と初めて会ったのは、小学1年の夏休み前
学校から帰ったら、君が勝手に家の庭にいた。
頭の中には冷蔵庫の中で冷えているであろう
サイダーのことしかなかったから
入り口を入って玄関に向かっている時
いきなり聞こえてきたジャラジャラッという音に驚いた。
頑丈そうな鎖を引きずって、君がヌっと顔を出した。
何が起こっているのかわからず、とりあえず固まった。
君は尻尾をちぎれんばかりにブン回し
両の前足を高く掲げた。
チビで痩せっぽっちでゴボウと呼ばれていた私は
太陽を背にした君のシルエットを見て
馬に襲われると錯覚した。
まだランドセルに振り回されていた小さな私は
仰け反った途端に不覚にもシリモチをついた。
驚いた私は、今歩いて来た道を大慌てで戻った。
道路を越えて杉林を通り過ぎ、おばちゃんの家に駆け込んだ。
「おばちゃん大変だ!デッカイ犬が家にいる」
さすがに脳みそが回転し、馬ではなく犬と認識できていた。
その日は、夕方オカンが帰ってくるまで家に近づけなかった。
初対面の印象は最悪だった。
しかし、この事で君が私をバカにするきっかけを
与えてしまったらしい・・・
君はオヤジが勝手に連れてきた奴だった。
訓練されているから、とても賢いと言っていた。
オヤジの趣味の猟のお供をするらしい。
しかし私は知っている。
君は実に性格の悪い奴だった。
オヤジやオカンに褒められてる時や、オヤジの友達の前では
行儀良く座り、愛想を振りまいている。
その様子を横目で見てる私を、君もまた
オヤジ達の目を盗んで横目で見ていた。
オヤジ達の前では「お手」にキチンと応じているのに
みんなの目が離れると、お手を私の頭にした。
その勢いで私がひっくり返ると、君は責められずに
近くに寄りすぎた私がバカだと笑われた。
ちっくしょ~
どういう訳か、君の散歩は私が仰せつかった。
チビだから、君の横に並ぶと、私がちょっと大きいだけなのに。
若い頃の早起きってのは、地獄なのに
若い頃は学校でしこたま走り回るから、帰ってくると
疲れきっているのに、朝夕の散歩に連れ出してやった。
そんな親切な私にした君の数々の無礼を覚えているだろうか?
君はデカイから、急に走り出すと私は引っ張られて転んだ。
わかっているくせに、私は何度も転ぶ羽目になった。
あれは絶対にワザとだ!
私を引きずるような事は決してしなかったけれど
私の膝小僧にいつも絆創膏が貼られていたのは君のせいだ!
アスファルトの道を歩かせると、君の爪がカチカチと
音を立てるので、競技場の芝の上や緑地公園の草の上を走らせた。
内股なので、歩くのが下手な私は、いきなり方向転換する君に
ついていけずに更に転ぶ。
君はすぐに駆け寄って来る。
近所の人が、優しいワンコだねぇ~と褒めると
優等生の顔をして尻尾を振る。
しかし私は知っている。
君は単に上から私を見下ろしているだけだった。
田圃の近くの農道を歩いている時も、私が道路側を歩くと
すかさず自分が道路側に回る。
車から私を守るふりをしてただけだ。
君のデカイお尻に弾かれて、他の犬のウ●コを踏んづけたり
土手を転げ落ちたのは、1回や2回や3回だけじゃないぞ!
夏場だけでなく、雪の下のウ●コまで踏ませられた!
君は絶対に確信犯だ!
オヤジの猟に付き合って、私はオカンと紅葉狩りを楽しもうと
一緒に車に乗った。
私の横には当然のように君が座る。生意気だ!
車酔いする私は酔い止めの薬もちゃんと飲んだのに、
君が先に酔って私の前にゲロを吐いた。
思わずもらいゲロをしてしまった。
とことん君は嫌な奴だ。
私だって、いつまでも小学生ではない。
中学に入って、ここぞとばかりに背が伸びた。
私の恨みの炎のように、メキメキと伸びた。
もう君のデカイお尻にだってビクともしない。
部活で鍛えたから、力だって君よりも強くなった。
ここぞとばかりに仕返しをしてやった。
散歩の途中、道路の脇を流れる側溝に突き飛ばしてやった。
君は暑かったのか、側溝を流れる水で楽しそうに遊び
自ら側溝を歩くようになった。
側溝から上がると、濡れた体をブルブルっと震わせて
私を水浸しにすることを忘れなかった。
どうにかして君を思いのままに操りたい。
君が嫌がることを色々考えた。
当時飼っていたゴールデンハムスターを頭に乗せてやった。
君は賢いから、この小さな生き物を決して襲わないんだよね?
君が怒るのをジッと待った。
君は寝そべった状態で、頭だけ上げて私を見ていた。
更に待った。
いきなり君はブルっと頭を振った。
ハムスターが君のお腹に落ちた。
そして私に向かって一吠えした。
驚いた私は、またもシリモチをついてしまった。
その際、オヤジが大事にしていた盆栽の枝を折ってしまった。
君のせいでオヤジにまで怒られた。
負けず嫌いの私は何とか君を使いこなそうと思案した。
しまい込んでいたローラースケートを引っ張り出し
公園で引っ張らせてみることにした。
賢い君は、私の意図を読んで勢いよく走り出した。
しかし、君はその先を読んでいた。
噴水のところでいきなり方向転換した。
不慣れな私は噴水を囲っている石垣に弁慶の泣き所を強打。
更に枯れた噴水に転げ落ち、ドロだらけになった。
君は心配そうに噴水の中を覗きこみ
わざとらしく小首を傾げていた。
どこまで憎らしい奴なんだ!
時々君は逃亡を計った。
散々探し回って、家に戻ると君は自分の小屋で寝ていた。
疲れている私を、頭も上げずに目だけをチラっと向けて
何事もなかったかのように、また寝た。
そんな仕打ちをされても、散歩を欠かさなかったのは
一応、君に恩を感じていたからだ。
夜の散歩の時、野良犬に囲まれてビビッていた私を
涼しい顔をして君は見上げた。
合図を待っていると察した私は「やれ!」と命じた。
君は「こんなの余裕」とでも言いたげな顔で私の前に出て
聞いた事もないような恐ろしい声で吠えまくった。
3頭いた野良犬は、転びそうになりながら一斉に逃げ出した。
唖然とした。
やはり窮地に女・・・じゃなくてメスは強い。
まぁ~そういうことがあったから、毎日散歩してやったのよ。
私はこうみえても義理堅いのよ。
なのに君が私にした仕打ちの数々は酷すぎると思わないか?
最後まで君は私を振り回した。
散歩に行こうとしたら、新しい極太の縄を食いちぎっていなくなった。
またどこかのオスとよろしくやっていると思った。
それでも毎日探してやった。
この私が心配してやっていたのに、君は帰ってこなかった。
オヤジ達は、旅立つ準備で山に向かったんだと言った。
毎日散歩してやった私に一言もなく
勝手に旅立つ準備だなんて無礼というものだろう。
私の諦めの悪さを君は知っているはずだ。
でもまぁ~黙って行かなかった事だけは認めよう。
その方法が君らしく意地悪だったけど・・・
いきなり金縛りにあわせるってのは、どうよ?
あれは苦しいんだよ。
しかも、この私を跨ぐなんて何様のつもりよ!
ビビッたじゃないか!
でも、その細い足と感覚で、すぐに君だとわかった。
だいたい君はデカイんだからさぁ~
わかった途端に金縛りを解くなんて、姑息だ。
そうやって怖がらせておいてから、オデコを舐める。
君が私を舐めたのは初めてだ。
君の声が聞こえたぞ。
ワンワンと鳴かずにウェンウェンと鳴く独特の声を。
旅立ったのだと気持ちに踏ん切りがついた。
オヤジもオカンも私の言う事を信じた。
そうか、旅立ったのかと・・・
何で急に君のことを思い出したんだろう・・・
お盆だからか?
っていうか犬も来るのか??
もしや私の腑抜けっぷりを笑いに来てるのか?
君ならやりそうだ・・・
悔しいから、君の悪事を暴露してやったわ。
まだまだ書き足りないけど、これくらいで勘弁してやるわ。
私ったら本当は優しいのよ。
知らなかっただろう(  ̄ー ̄)
こんなに長々と君の事を記事にしてやってるんだから
ありがたく思って欲しいわ。
君のおかげで、いらぬ悪知恵もついた。
負けず嫌いになったのは、間違いなく君のせいだ。
私に悪影響しか与えてないって事に気付いてくれた?
( ̄O ̄;アッ!
頼むから驚かすのは止めてね。
今、霊感封印中らしいから、見えないのよ。
金縛りも苦しいから止めてね。
オカンと弟は、青森に行ってるよ。
君がいた家は、もうなくなってるけど
明日なら、君と散歩した公園や競技場に行くと思う。
初めて会った時、私が逃げ込んだおばちゃん家にも行くと思う。
おばちゃんは去年旅立ったけど、おじちゃんがいるよ。
今なら弟の嫁さんと、子ども3人が見られるぞ。
私は見ての通り、しぶとくやってるから大丈夫だ。
何かしてくれるんなら、仕事の縁でも
引いてきてくれるとありがたいんだけど・・・
君の悪事を暴露したから気を悪くした?
これも君のせいだと思って諦めてくれ。
今度会うときは、しかたがないから抱きしめてやろう。
まだ随分先の話だが、ちゃんと待っているように!
それから君の後から旅立ったムクとプチを探しておいてね。
あの子達、頭悪いからさぁ~
ハムのクッキーとポッキーもそっちにいると思うけど
性格が私に似てるからって、踏んづけないように。
よろしく頼むよ。