コバケンのオルガンつき | 木琴歩徒氏のブログ

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木琴歩徒氏の独り言ブログと、出かけたクラシック音楽のコンサートのレポートです。

○2023.9.10(日)14:00~ サントリーホール 2階P2-○
 小林 研一郎:日本フィル(#401名曲)、Org)石丸 由佳
  J.S.バッハ:G線上のアリア、トッカータとフーガ ニ短調BWV565
  エルガー:愛の挨拶、マスネ:瞑想曲(歌劇「タイス」より)、
  サラサーテ:ツィゴイネルワイゼン、Vn)高木 凛々子
  (アンコール)プッチーニ:私のお父さん
       (歌劇「ジャンニ・スキッキ」より)、Pf)小林 研一郎
  サン=サーンス:交響曲第3番ハ短調op78「オルガンつき」
  (アンコール)
  マスカーニ:歌劇「カヴァレリア・ルスティカーナ」間奏曲
(会場入口のポスター)
 前後のスケジュールを余り意識せず、聴きたいチケットを個別に求め
たら、9月の演奏会は全て日フィルということに。口開けの東京定期は
ヤマカズだったが、後の3回は全て83歳のコバケンが振る。普通なら若
手を起用する名曲シリーズだが、大御所自ら出馬して古巣の集客に貢献
することとなった。場内はほぼ満員で中高年のグループが目立つ。壮大
に鳴り響くパイプオルガンの真下、Pブロック中央の前列で聴く。
 最初は年末の第九演奏会でしか、殆ど聴く機会がないオルガン独奏曲。
ソリストは直ぐ後ろの上段なので、演奏する姿は殆ど見えない。G線上
のアリア(編曲)は穏やかなメロディが心地よく、トッカータとフーガ
はビリビリと空気が振動する重低音の連続。場内は得も言われぬ荘厳な
雰囲気に包まれた。演奏時間は15分ほどで、遅れた聴衆が入場して来た。
(カーテンコール)
 続いて独奏ヴァイオリンが活躍する、協奏曲代わりの有名小品が3曲。
1996年生れの美人ソリストは赤のドレスで登場。オケは弦12型の小編成
でコンマスは扇谷泰朋。マエストロは3曲とも暗譜での指揮。エルガー
は艶やかな音色が美しく、マスネは伴奏Hpに乗ったしっとりとした情感
が心に沁みる。そしてトリのサラサーテは、情熱がほとばしるような超
絶技巧の連続。性格が全く異なる3曲を、見事に弾き分けた演奏だった。
マエストロはインタビューで、ソリストのご両親が読響のVn奏者である
ことを紹介。自ら伴奏を弾いて促したアンコールは、有名なオペラアリ
アの編曲。オケの後方に置かれた交響曲用のPfを使ったので、ソリスト
はその脇(ティンパニの前)まで分け入っての演奏となった。
(カーテンコール)
 後半オケは弦フル編成に増強され、2年振りに聴くサン=サーンスの
大曲。1楽章の前半は沸き立つような主題の繰返し。オケの響きは分厚
く緊張感が高まる。後半はオルガンの荘重な響きが場内を支配し、弦が
刻む美しいメロディは厳かなミサを思わせる。マエストロは上体を反ら
せ、天を仰いで祈るかのような姿勢を続けた。2楽章では眼下の打楽器
やピアノ連弾が大活躍し、前半は主題が激しく交錯。後半はオルガンの
重低音が物凄く、壁にヒビが入るかと思う程。一瞬の静寂の中から聴こ
えるFlやObソロが美しい。大伽藍を髣髴とさせるフィナーレでは、マエ
ストロは右手を天に向かって高く掲げる。盛上りは最高潮に達し、ブラ
ボーも続出して怒濤のような拍手の嵐となった。
(軽井沢のアメリカフヨウ)
 聴衆を鎮めてのマエストロのご挨拶は、来場のお礼とスポンサーへの
謝辞。そしてアンコールは、予想通りカヴァレリア間奏曲。本日は大サ
ービスで、最後にお得意の「交響曲の最後の1分ほどをやります」。終
演後は楽員一同四方に礼をして、時間通りにお開きとなった。