高関健のジョージ&レニー | 木琴歩徒氏のブログ

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木琴歩徒氏の独り言ブログと、出かけたクラシック音楽のコンサートのレポートです。

○2023.7.26(水)15:00~ ミューザ川崎 2階RA1-○
 高関 健:東京シティ・フィル(フェスタサマーミューザ 2023)
  ガーシュウィン:パリのアメリカ人
     〃   :ラプソディ・イン・ブルー、Pf)横山 幸雄
  (アンコール)ドビュッシー:奇人ラヴィーヌ将軍(前奏曲第2集)
  バーンスタイン:シンフォニック・ダンス(ウエスト・サイド物語)
     〃   :ディヴェルティメント(終曲をアンコール)
(会場入口のポスター)
 7月下旬からお盆前の一番暑い時期に、ミューザ川崎を中心に開催さ
れる「フェスタサマーミューザ」。2005年に始まり今年で19回目を迎え
るが、今では3万人が訪れる名物イベントになっているとのこと。工場
の街という川崎のイメージは、今や完全に過去のものである。全19公演
のうちオーケストラは、首都圏のプロや音大などによる16公演。その中
から米国の大作曲家ジョージ(ガーシュイン)とレニー(ことレナード
・バーンスタイン)を並べた、シティ・フィルの演奏会に出向くことに
した。指揮は常任就任9年目を迎えた高関健。このオケの実力を飛躍的
に向上させたと、聴くたびに実感させられている。
 最高気温38度の中で開催された、夏休みの平日マチネ。気軽に行ける
格安料金なのだが、流石に3・4階まで満員とは行かないようだ。オケ
はこの規模のホールには丁度良い弦14型。普段ならば古典的対向配置と
するマエストロだが、本日は20世紀の曲ばかりのためか通常配置である。
Pブロック上手寄りの前列で聴くが、眼下のステージは管楽器や打楽器
(奏者7名)で溢れている。コンマスは戸澤哲夫。
(開演前のステージ)
 1曲目は20年以上聴いていなかったパリ・アメ。マエストロは大版の
総譜を頻繁にめくりながらのタクト。演奏は至ってオーソドックスで、
コンマスやTpのソロが上手い。ステージの左右で鳴らされる、100年前
の手動クラクションが実にユーモラス。原典版を取入れたためなのだろ
うか、後半少し違った感じで聴こえる箇所があった。
 2曲目はピアノが運び込まれて、これも8年振りで聴くイン・ブルー。
1971年生れの横山幸雄は若手のイメージが強かったが、今や白髪交じり
のがっしりとした体躯。赤いシャツに白のジャケットで、お洒落だが相
当な貫禄が漂っている。テクニックの冴は相変わらずで、端正だが実に
ノリが良い演奏。しかし弾きぶりは至って淡々としている。アンコール
はガーシュインではないと思ったが、何とドビュッシーの難曲。ジョー
ジの2曲の雰囲気を壊さずに、その余韻を楽しめたのは意外だった。
 20分の休憩後はレニーの2曲。最初は有名なミュージカル「ウェスト
サイド物語」から、9曲がメドレーで続けて演奏されるシンフォニック
・ダンス。さながら極彩色の舞台絵巻を見るようである。フィンガー・
スナップは手が空いている楽員全員でパチッ。マエストロは「マンボ」
の掛け声を、聴衆の方を振り返りざまに要求。プレトークで話したのか
も知れないが、これは少々唐突で聴衆はあまり反応しなかった。
 最後を飾ったのは初めて聴くディヴェルティメント。8曲から構成さ
れるボストン交響楽団の100周年の祝賀曲で、1980年に小澤征爾の指揮
で初演されたという。有名曲からの引用があるようだが、素人にはそれ
とは分からない。どこかで聴いたことがあるような、ないような曲想の
連続である。終曲では管楽器が立奏するなど、華やかな雰囲気のうちに
オール・アメリカン・プログラムは終幕を迎えた。
(大分・耶馬渓)
 鳴り止まぬ大拍手にアンコールは、演奏されたばかりのディヴェルテ
ィメントの終曲「ボストン響よ永遠なれ」。最後は楽員全員が立上がり、
ステージを楽し気に歩き回りながらの演奏。連日の猛暑を吹き飛ばす、
恰好の清涼剤となった。