もう2週間が経ってしまいました。
遅くなってほんとすいません。
田中次郎君と飯坂さんの枠縁の2作目を観てきました。

田中次郎君独特の、「庭売り」という奇妙なタイトルからも想像できるような、普通そうなのに何かが微妙にずれている不気味な感じの展開は、私の大好きなモチーフです。

庭はやたらきれいなのに、家はやたら汚い物件に、ある新人小説家夫妻が越してくることからお話は始まります。
家の掃除を頼まれているはずなのに、庭をまるで自分のもののように掃除する隣の奥さん。その奥さんに掃除を依頼し、やたらを庭を進める不動産屋。そして、やたらと職を変える小説家の兄。
そして、その家に住み始めたと同時に小説を書けなくなった新人小説家と、家の中を片づけない妻。

そのどれもが少し異常である。

じかんの進み方の描き方や、枠を使って舞台の視点を変える手法はとても秀逸だったと思います。
また、5人の役者も性格がはっきりしていてわかりやすかったし、キャラクターもしっかり立っていたと思います。

時間を経てゆくとともに、登場人物それぞれの異常さが増してゆく感じは、とても面白く、特に、妻役の飯坂さんの「異常さ」と「普通な」感じの転換はきれいに決まっており、お芝居自体のドライブ感を引き立てていました。

どんどんと庭の異常さが増してゆく様は本当に面白かったです。

惜しむらくは、行方不明になる小説家が、庭に呑まれているというところで、「穴に入っている」という描写が、そこまでに異常さに比べると「普通な」感じがして、ちょっと拍子抜け感じがしました。
例えば「庭と同化する」とかの方がより面白かったのではないかと思います。

また、これは田中次郎君の味なのだが、後半のシリアスな場面にも巧みな言葉遊びがあり、これは面白いのだが、ちょっとタイミングが狂うと白けてしまう。
むしろなくても良かったかと思いました。

とはいえ、前作タウンより数段面白かったと思いますし、枠縁の可能性をとても感じた舞台でした。
ここは性格なので難しいかもしれないのですが、田中次郎君にはもっともっと自信を持ってもらって堂々と作品を送り出して欲しいなと思います。

これからもがんばって欲しいと思います。そして、後輩だからというだけでなく、もっと枠縁を応援してゆきたいと思います。



人間座