さて、VOGAの「Vector」。
観てきたと言いますか、当日のお手伝いをしてきました。

石清水八幡宮の荘厳な雰囲気の中での「Vector」は、「場」そのものを味方につけつつ、圧倒的な情報量を視覚と聴覚を中心にした五感すべてをフル活用して観るお芝居は、相変わらず凄いものでした。

前半の音楽劇パート、さすがに役者の皆さん、動きがキレキレでしたね。
その中でもやっぱりうめいさんの動きはとても素晴らしかったです。
当日スタッフでしたので最後列からでしたが、「風音」のシーンはうめいさんばっかり観ていました。
(そのほかの皆さんすいません・・・)

朱鷺のシーンもとても良かったですね~。
フライヤーのタムラグリアさんの絵さながらの4人の朱鷺が現れた時は、「ぞわわ~」と鳥肌が立ちました。

ストーリーは二組の男女のお話。
コンセプトはとてもシンプル。
それゆえ、お話がしみ込んできます。
若者と朱鷺、仏師と妻のそれぞれの愛は悲劇に終わるかに見えましたが、最後に救いがありました。
その救いは、おそらくは近藤さんの優しさなのでしょう。
そして、男女二組を演じたカゲロウさんと谷さん、綾子さんと東さんのストレートな表現がぴったりシンクロしていたからでしょう。

正直ちょっと恥ずかしいくらい泣いていました。
近藤さん曰く、ある一定の年齢以上の人の琴線に触れたようです。
おそらくはいろいろと人生経験をしているからこそ、最後の「救い」に泣けたのだと思います。

こんなに素晴らしいお芝居なのですが、初めて観た人の中には「ついていけなかった」という感想があったのも事実でした。
悲しいかな、これがVOGAの凄さがある意味「両刃の刃」であるせいなのでしょう。
つまりは、情報量が多すぎて、観る側が消化不良を起こしてしまうのだと私は思います。でも、その情報量の多さこそがVOGAの真骨頂でもあります。

近藤さんに「音楽劇をもう少し後半にしたら」と言ってみたのですが、どうもそうもいかないようです。
それもそれで良くわかります。
バランスが崩れてしまうのでしょう。

でも、このVOGAの凄さをもっと知ってもらいたいと思うのです。
だからこそ、たくさんの初めて観る人に凄さが伝えられたらと思います。
コンパクトでも伝わる凄さ、もしかしたら、それが今後のVOGAの課題なのかもしれません。


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