むかーし、昔。まだマキノノゾミさんのM.O.Pがつかこうへい作品ばかりやっていた頃、すでに遊劇体は西部講堂で異彩を放っていた。
そう考えると、30年もの間、ずっと公演を打ち続けている遊劇体さんってホント凄いと思います!!

4年前、それこそ20年近くぶりに遊劇体さんの公演をみたのが、泉鏡花作品の「多神教」でした。その時の劇場が五條會舘。

やはり、泉鏡花作品はここが一番です。
なんといっても雰囲気抜群です。

五條楽園跡とう立地、元々歌舞練場だったという風情も、花道も、松羽目も、まるで泉鏡花作品をやるために誂えたかのようでした。

今回の泉鏡花作品も、その独特の剽げた感覚が実に可笑しく(面白くではなく、可笑しくというのが適切だと思います。)とても80年近く前の作品ではないような気がしました。

もちろん、セリフは昔の作品なので、古いのですが、権力を振りかざす輩に対しての鏡花の批判性は、まさに今のこの時代にも通ずるものがありました。
そして、鏡花の女性に対する優しさもうかがい知らさせるのです。

さて、大好きな女優さん大熊ねこさん、いつもは姐さん肌の力強い女性を演ずることが多いのですが、今回は、比較的しなやかなタイプの役。
いつもと違うなあと思いましたが、さすがそこま大熊さん、しっかり演じていらっしゃいました。

北陸地方裁判所長を演じた村尾オサムさん、悪の権化みたいな團助を演じた菊谷高広さん、条あけみさんなど、「さすがだなぁ」と思う演技ばかり、やっぱり遊劇体さんは「芝居がうまい!」。
特に菊谷さんの「悪役」なんだけど、とっても剽軽な感じがするのは、菊谷さんご自身のキャラクターがなせる業なのでしょうか。
そこがこの作品全体の「剽げた」雰囲気と実に絶妙に相まっていました。

実は、ひょんなことでお手伝いをしていたVOGAの公演とどんかぶりで、今度ばかりはさすがに行けないかと思っていたのですが、なんとかかんとか観に行けまして、本当に「観てよかった」と思える作品でした。

写真はその五條會舘です。


お忍び 五條會舘