この作品は2002年に発覚した久留米看護師連続保険金殺人事件を題材にしております。
しかも主役の4人の看護師の名前はほぼ実名。

当時、この事件、後に「黒い看護婦」というタイトルでドキュメンタリーも出されるほど、当時は衝撃的な事件でした。
大竹野さんが初演したのはその本が発刊されるより前の2003年。
その内容は、彼女たちの極悪性を暴くというよりは、彼女たちの心の闇を優しく照らしだすといった内容でした。

もちろん、私は初演は観たことありません。
今回、ツツミ役の大熊ねこさん以外、ヨシダ役の林加奈子さん、イケガミ役の後藤小寿枝さん、イシイ役の小栗一紅さんは初演と同じだそうです。

残忍な話ではあるが、コミカルなシーンを混ぜて展開するのはとても秀逸でした。
「喜劇と悲劇のボーダーライン」という言葉を大竹野さんは2003年時のパンフに書かれていましたが、まさにそのとおりなのでしょう。

犯罪に走る理由、金、そして、友情、小さな社会に縛られる人、男・・・・
哀しい理由と哀しい関係、そして、その哀しさに気付きながら走り続けるしかない彼女たちを描く作品は全く飽くことなく観ることができました。

役者陣さすが素晴らしかったです。
遊劇体さんもそうですが、とにかく芝居がしっかりしていて、しかも説明しすぎない演技、4面とも客席という舞台構成を巧みに利用した演出もさすがで、ラスト、ナースキャプを焼くシーンがとても印象的でした。
(今の看護師さんはナースキャップ被っていませんが、なにせ事件は90年代なので)

5年前に不慮の事故で無くなられた大竹野正典さん。
くじら企画の公演も今回の公演で一区切りだそうです。
残念ですね~。
また、違った形でも上演してもらいたいなと思います。

さて、今回、観劇以上にうれしいことがありました。
大学の同級生であり、同世代でまだ芝居を続けていた石川真士君に会うことができました。
残念ながら日替わりでしたので彼の芝居を観ることはできませんでしたが、大熊ねこさんのお計らいで、再開することができました。
石川君は犬の事務所時代から大竹野さんの作品に出ている役者さんで、立命館大学時代は桜企画という演劇ユニットを昇竜之助君と組んで活動していまして、私は石川君のファンでした。
(ちなみにその前は学生劇場に所属していて立花君の名作『河原町のジュリー殺人事件』にも出演しておりました)
石川君も私の芝居をかなり観に来てくれまして、たまに芝居の話などツラツラとしておりました。

ま、彼がどういうわけか私がやっていた芝居のことをよく覚えてくれていまして、顔からおもいっきり火が出そうでしたが・・・

私が芝居をやめてもう27年になりますが、彼らとの再会はほんといろいろと刺激になります・・・・ま、身勝手な話ですね。申し訳ないです・・・・

さて、写真は当日買いました大竹野さんの劇集成です。
いやはや面白い!
別冊の座談会には前述の石川君も登場してますし。

大竹野正典劇集成3