先週日曜日のこと、「建築家M」を観てきました。
観たい芝居がたくさんあったのですが、何分単身赴任ではなく自由が効かない身、
特別に家族の許しを得て、観に行きました。

田辺さんの書き下ろし戯曲を、筒井さん、柏木さんという二人の演出家がそれぞれ違うキャストで創り上げる。しかも、その二つを続けて観るという企画。
いやはや観ないわけにはいきません。

舞台はどこの国かわからない国の辺鄙な田舎村の村長の家。
町から、村長の公邸を設計するために呼ばれた建築家が現れるところから話が始まる。
その村長一家が大事にしていた犬が行方不明になっているのだが、この犬の部屋をどこに作るのかで、何度も図面をやりなおさせられる。
また、その犬を探すために「犬ハンター」という意味不明な男が雇われて・・・・

この犬、誰に聞いても色、大きさまでも違う・・

もしかしたら、犬は存在しなかったのかもしれません。
存在しないものを信じる人と、存在しないものに振り回される人。
実に「深い」話でした。

「はたして演出により、演劇の世界はどれほど見え方が変わるのか。」とパンフに書かれていたのですが、私としては、演出と役者が変わるところにポイントがあった気がします。
同じ役なのに、演出と演じる人が違うことによって、微妙に性格が変わって見える。主人公の建築家にしても、例えば神経質の度合いが違って見え、村長の一人娘も、村から出たいと思う気持ちの傾向が違うような気がしました。

もちろん、2つの作品に出演していた10人の役者さんの演技が秀逸であったことは当然の話です。

そして、異なる二つの作品を観終わって思ったのは「もしかすると、これは二つの作品を比べるのではなく、別の角度から描く二つの描写を観ることでより作品を理解を進めることが目的ではなかったのだろうか。」ということ。

まあ、やられました。

いずれにしても、非常に面白い企画でした。
ぜひ、第二弾第三弾を観たいものです。

写真は京都芸術センターです。

mokichi4516こと齋藤秀雄の再び京都へ戻ってきました。-京都芸術センター