今回のMONOはいつものメンバーにヨーロッパ企画の二人と岡嶋秀昭さんが加わった男8人の芝居。

とはいえ、やっぱり安定感ばっちり。
巧さが光る面白くも考えさせられる完成度の高いお芝居でした。

小学校のころ、ホームルームでクラスを2分する議論になり、教室の前と後ろに別れてやり合うといったことがありました。
当然時間中に解決せず、挙句の果てに教室の中に境界線を引き、しばらく対立するなんてことがありました。
正直、それを思い出しました。

話は架空の国の架空の刑務所でのお話。
オープンプリズン、つまりは束縛の少ない自由な雰囲気の刑務所が舞台。
この刑務所、オープンプリズンだけあって、看守も受刑者も和気あいあいと過ごしていた。

そんなある日、国が分裂。
何と刑務所が国境上の刑務所となる。

戸惑いながらも、次第次第に受刑者と看守も分裂。
刑務所を二分した争いはエスカレートし、看守を交えたお喧嘩となり、けが人を出す大騒ぎに。

ところが、隣の大国に二国とも吸収され、一つの国になると・・・

日本のようで日本でないようで日本であるようなそんな話。
人と人の関係は実は変わらないはずなのに、置かれている環境が変わると、次第に環境に左右され、ちょっとした利己意識が互いに刺激され、エスカレートしてゆく。

鋭い人間観察をベースにした、どうしようもない人の性(さが)を的確に描いた土田君らしい作品。
しかも、それを8人の役者がキャラをしっかり立てて描いてゆく。

どうしようもない人間臭さを皮肉たっぷりに、それでいて愛情込めて描いているのはほんとさすがです。

最後のシーン。
「心の中に線を引いてしまっていたんだ」
というセリフが真理をついていました。

相変わらず、すごいなぁ・・・

終演後、ずうずうしくも楽屋にお伺いし、土田君と奥村君に挨拶させていただきました。
いやはやほんと幸せなひとときでした。

mokichi4516こと齋藤秀雄の京都単身赴任生活-ABCホール