とてつもなく静かで、それでいて力強い。
そんな一人芝居でした。

通されたのは書院造の和室。
その真中に畳4畳半程度の大きな水盤。

役者は悪い芝居の山崎君、そして脚本・演出は砂の上の企画の司田君。
二人とも西一風の後輩達です。

私が先輩面するのは、正直かなりおこがましいですね。

さて、お芝居。
山崎君は胡坐をかいて座ったまま、ほとんど動かず、90分話し続けました。

舞台はある山中、吹雪の凍りついた湖畔で、一人の漁師である男が、倒れていた女を拾うところから始まります。
この男の半生を描きます。

ごく自然に男と女は暮らし始める。
話の語り手は女を母と呼び、男を父と呼ぶ息子。

時は流れ、男は鹿を撃ち続ける。女はある日我に返り、そして、死ぬ。
納戸に残された女の免許証を頼りに、男は東京へ行き、女を実家を訪ねるが、女の家族に会うことは叶わなかった。
さらに時は流れ、男は鹿を撃ち続ける。
そんなある日、男は雪崩に飲まれてしまい、最期を迎える。
それを息子は見ていた?
息子・・・・そう、息子は生まれてこなかった子、そしてずっと父を見守っていた子だった。

このお芝居。
プロデューサーからは下の写真のシーン。
水盤に赤い花が散るシーンを組みこんで欲しいと要求があっただけだそうです。

mokichi4516こと齋藤秀雄の京都単身赴任生活-水分シーン

そこから、ここまでの話を展開するのはさすがです。
また、この芝居を一人で座ったままやりきった山崎君もさらにさすが!

動かない芝居がどれほど難しいかは良く解ります。
動かないがゆえに、観る側のイメージがどんどん膨らみます。
でも、それは演者の技量がないとただのつまらない芝居になってしまう。
そうさせない技量と精神力が山崎君にがありました。

役者山崎彬・・・・さすがです。
そして、それを書いてやらせた司田由幸・・・・・さらにさすがです。

とにかく、言葉と役者の力に圧倒されました。
写真は主水書房の外観です。

mokichi4516こと齋藤秀雄の京都単身赴任生活-主水書房外観