人って年齢を重ねるとキャラクターがしっかり立って来て、その人その人の存在感だけで十分お芝居を形成できるのだなということを実感しました。

劇研が50歳以上の方を対象に行っている演劇ワークショップから生まれたシニア劇団。
ふたつある組のうち水組の公演でした。

お話は、年齢を重ねた人たちが、日常生活の中でふつふつと抱く変身願望。
(正直、私にもあります)
それを叶える活動をしているのが「ドラマチックライブアート」という設定。

大まかな状況設定と配役だけ決めて、普通の街の中で、アドリブで行われるお芝居。
参加する人は誰がどの役かは行ってみないとわからない。

そんな「ドラマチックライブアート」もちょっとネタ切れ状態。
困ったエグゼクティブディレクター(おばさまです)の御主人が、「ある日ポシェットを拾って交番に届けた」というお話を聞き、それをネタに台本を書いた。

それが何と、落としたのは10億円の小切手で落とし主から謝礼とて1億円もらえるという話。
ところが、役名を御主人の本名にしてしまったため、たまたまその場面に通りかかった御主人本人がお芝居に巻き込まれてしまうと言うお話でした。

お話のスジ自体も実にコミカルで面白いのですが、出演している役者の皆さんが実に生き生きしていてすばらしく、かつ、それぞれの皆さんにキャラクターがしっかり立っているからさらに面白い。

もちろん脚本・演出の平岡さんがしっかりキャラクターを引き出しているのでしょうが、それ以上にそれにしっかり答えている役者の皆さんが実にすばらしい。

細かい、演技技術とかより、何より役者自身が楽しんでいる姿がとても清々しいお芝居でした。
芝居は理屈や技術ではなく、気持ちなんだーって再認識いたしました。

最後、御主人こと「山之内和夫」は1億円騒ぎに巻き込まれている間、何度も部長の呼び出しを断っているうち、ついに会社をクビになってしまいます。
ところが、クビになってもなんら悲壮感がなく飄々とした感じがとても面白く滑稽なのは、もちろん作品の良さもありますが、演じている田中賢一さんの存在自身がしっかり活きているからだと思いました。

私もシニア世代まで後2年半。
仲間に入れてもらえないかなぁ~。

写真は夜の劇研です。

mokichi4516こと齋藤秀雄の京都単身赴任生活-夜の劇研2012