ラストシーン、不覚にも泣いてしまいました。
そんなお客はあまりいなかったと思います。

泣いたのは、たぶん、私が娘二人のリアルな父親だからだと思います。

テーマは「家族」。
奇しくも先日の劇団しようよと同じテーマ。
しかも、その家族から抜け出したい反抗期の若者がいる。
そこも同じ。

自分自身もそうでしたが、20代の前半って、中学・高校の反抗期とは違い、親の庇護のもとから抜け出す。
つまりは意識的「巣立ち」の時期だけに、やはりそういったことをテーマにしがちなのでしょう。

後は観劇後築地さんとも話をしていたのですが、今年東日本大震災があったこともあり、全国民的に「家族」という一番身近で欠かすことのできない存在を意識せざるを得ない状況だからということもあるのでしょう。

あるお城に住む家族、石油王なんだそうです。
異常なまでの父親の愛、いつも家族はいっしょにご飯を食べる。
そんな家族から抜け出したい姉。
石油王を継がずに東京へ出て役者をやりたい弟。
孤児院育ちで家族の温かみを知らずに育った寂しがり屋の姉の彼氏。

そうやって物語は進んでゆきます。
あ、まだ今日も公演がありますから、あらすじはあまりなぞりませんね。

彼らのお芝居はずーっとハイテンション、ずーっと動き続け、まるで手話のように動く。
実は、どちらかというと私たち80年代の演劇に通ずる演技。

「おれも昔こんなだったっけ」っと苦笑いしながら観ていました。

ただ、ハイテンションなのに、抑揚と強弱がないので、前回の公演もそうでしたが、前半がだるくなってしまう。
おそらく、意識的にそうしているのでしょうが、ここがドキドキぼーいずの課題だと思います。
うまい劇団は「引くところ」と「押すところ」を理解しています。

さて、我慢が限界にきた娘は家を飛び出し、挙句の果てに、彼女を追いかけてきた彼氏がお城の裏山に火をつけてしまいます。

雨が降って全焼は免れますが、父親は怒りません。
娘に殴られても怒りません。
それには理由があるのですが、そこは書かないでおきます。
もうひとりのキーになる登場人物がいます。

娘に「死ね」と言われた父親は、「そうか、俺が死ねばいいんだ」とトラックに飛び込みますが・・・・

死なないのです。
死んでしまったら家族を守れないから・・

最後の父親役椎名翔一くんの演技よかったですね。
「子供のことを好きじゃない親なんていない」(ちょっとちがったかな?)
というセリフは真理です。

父親が娘に放つビンタの音も印象的でした。

ただ、今回のテーマは言わばありがちなテーマ。
後はどこまで独創性を加えることができるかもこれからの課題ではないでしょうか。

最後に福田きみどりさん演じるお母さん、テンション高くて抜けてる感じが面白かったですね。
当人とちょっとかぶります。(笑)


mokichi4516こと齋藤秀雄の京都単身赴任生活-ドキドキぼーいず