なんと感想を書こうか・・・・・昨日観てからつらつらと思っておりましたが、うまく言葉に言い表せません。
そんなお芝居なんです。ものすごいお芝居でした。
ただ、ものすごくいろいろなことを考えながら観ておりました。

故中島睦郎氏が、劇団が崩壊してゆく様を描いたこの作品は、セリフが多少難解です。
でも、それは50年代60年代の小劇場演劇運動の人々たちの様子を鮮明に描き出しておりました。
純粋に演劇を求めてゆく若者と、時代の流れの中で変遷してゆく作家やその周囲の人々の悩み、葛藤や対立、なんとも物悲しく、切なく、苦しいお芝居です。

芝居は10分の休憩を挟んで実に3時間。
でも、その3時間、観ている私の集中力は切れませんでした。
卓越した役者陣の演技と、精華小劇場をそのまま「素」で使った舞台には、観ている方が苦しくなるような張りつめた緊張感がありました。
特にその3時間、主演の村尾オサムさんはずっと出ずっぱりでした。
1月に観た「山の声」の時も感じましたが、村尾さんはなんとすごい役者なのでしょう。
村尾さんに限らず、相変わらず遊劇体の役者はうまい。
当たり前なのでしょうが、この役者陣だからこそこのお芝居ができるのでしょう。
観終わった後、ずっしりしたものが心に残るお芝居でした。

実は、私はこのお芝居に自分の今の仕事、すなわち会社を重ねて観ておりました。
当然、彼ら演劇活動を行っている人たちと比べれば経済的に裕福ではありますが、企業も理念と利益と社会情勢の中で葛藤があります。

やおら20数年という歳月を過ごした私の会社が直面している現状はとても悲しいものです。
ただ、生き残っていかねばなりませんから、いろいろと会社は変わってゆかねばなりません。
心の中で「もっとやりようがあるだろう」と思いつつも進めなければならないこともあります。
部下のみならず上司から私自身の「変説」を指摘されたこともあります。

生き続けるためには変わらなければならない。
時にはそれはつらい選択を伴います。
でも、人間としての根っこの部分をぶれさせなければ、それはきっと一貫したものになるのではないかと考えます。
そして、いつか解ってもらえるのではないかと。

話が横道にそれました。
要はそんなことまで想いを巡らせながら観ておりました。

さて、精華小劇場は今月で閉館だそうです。
閉校になった学校の利用方法としては、最高の活用方法だと思うのですが。
ボランティアスタッフで運用するのもだめなんでしょうかね。
残念です。

ちなみに、ようやく、実にようやくキタモトさんにご挨拶できました。ほっ・・

mokichi4516こと齋藤秀雄の京都単身赴任生活-精華小劇場