「鬼滅の刃」
煉獄杏寿郎は、比類なき剣術の腕のみならず、端正な容姿、的確な判断力を持ち、面倒見もよい人物として描かれています。ビジネスパーソンであれば、いつも売り上げトップで、仕事もスマート、そして、後輩からも慕われるエースのような存在です。しかし、多くの観客が煉獄に魅力を感じるのは、他を圧倒する能力の高さではなく、むしろ、彼の弱さや苦しみや、人間としての誇りと信念をもって使命をまっとうする生きざまに共感しているからではないでしょうか。
ストーリーが進むにつれて煉獄が炎柱になるまでの生い立ちや家族からの期待が彼の心の礎になっていることが分かってくると、じわじわと共感の念が芽生えてきます。原作者の吾峠呼世晴ごとうげこよはる氏は「煉獄さんはつらい時も苦しい時も弱音を吐かず、家族や仲間を大切にする、前向きな人」と表現しています。人としての思いや背景を知ることによって、人は共感を抱くのです。