
被写体に恋をしないことはむずかしい。
恋というのは恋ということじゃなくて
つまりそういうこと。
つまり深入りしないでいるということ。
後追いしないということ。
もっともっと
もっともっと見たい
って
思ってしまうこと。
写真は一瞬でだからこそ永遠で
だからこそ尊くて
人の心になにかを残していく。
その瞬間を超えて
そこになにかが残るのならば
瞬間を切り取ったあと<未来>のことをその目を通して求めてはいけない。
だって世界と写真を通してつながってみただけ
写真という契約を世界とかわしただけ。
その瞬間瞬間を愛しても罪はないけれど
そんな無責任な愛、
写真という免罪符で許されているだけで
現実世界そんなのはやっかいなだけ。
愛すべき瞬間
愛すべき感慨
愛すべき感覚
愛は衝動で
写真も衝動で
それをかたどって残す。
被写体に恋をしないことはむずかしい。
恋は今もなおこれからも私たちの生きる世界に存在して
続いていくもの。