日本の法律では
実年齢20歳に 達すると

『成人』とみなされ

未成年の間には
大目に 見られていたコトが
一切 甘えを許されなくなったり


逆に 未成年の間には
許されなかったコトが

自己責任に於いて
出来るように なったり




表裏一体の『責任』と『自由』を
一度に手にする 人生最大の
転換期では なかろうか





第二の生誕祭とも 言うべき
『二十歳』を祝う
日本の成人式は 言うなれば



『合同 誕生日パーティー』



みたいな カンジだ





最近では
日本中のあちこちの成人式会場で

大人の意味を履き違えたボク達が

酔って暴れた挙げ句
晴れの日に 逮捕などと言う

アホ極まりない失態を
さらけ出す 呆れたニュースを
正月早々 必ず 目にする





今も 昔も 無鉄砲な大胆さは
若者の特権であるが

私達の頃は もう少し
モラルがあったような気がする





こういうコトを言うから

おじさん おばさんは
若者に 疎ましがられるのかな
とも 思ったりもするが


別に 若者の間で 私の好感度を
上げたいとも 思わないから

んなモン 知ったこっちゃない










成人式当日を迎えた
女の子の朝は とてつもなく早い





夜中のウチに 美容院へ行き
髪を結い 着付けをする





若い女でごった返す
深夜の美容院は
一種独特な 雰囲気で

初披露の時を待つ
芸妓の控え室みたいだ





私は 悶々としながら
ぐいぐい 帯を締められていた





翔子は 結局 最後まで
口を 割らなかった





この私に 隠し事とは
全くもって けしからんが





『お楽しみは 後に
とっておくモンだろう?』





いたずらを企む少年のような顔で
上目使いに見られたら

それ以上は 訊けなくなった





まぁ いい


太陽が昇って成人式会場に行けば
その謎は 明らかになるのだ





寝不足の目に これでもかと
輝く 太陽





まさに 今日は日本晴れ





雪がほとんど降らないこの地域は
寒ささえ ガマンすれば
何も 問題はない





慣れない振り袖に
不自由を強いられる女の子達は

彼氏がいる者は 彼氏の車で

いない者は 家族の送迎で
成人式会場に 足を運ぶ





私は 一つ年下の彼氏に
会場まで 送ってもらうと
仲間達の姿を 探した





『こもも こっちこっち』





孫にも 衣装だな





普段は 悪役レスラーのような
メイクをしている 香(仮名)も

今日は おしとやかな
博多人形みたいだ





『男連中は?』





体格がよく 今日は老舗旅館の
女将のように見える京子(仮名)が

タバコをふかしながら
遠くを 指差した





『ブォン ブォン』





何台もの 族車達が徒党を組んで
駐車場に 入って来るのが見える





『アイツら 何 着てきたのかな』





やっぱり 女連中は
誰も 知らないみたいだ





その中のマコト(仮名)と
付き合っている
純子(仮名)でさえ
首をかしげている





何やら 楽しげに
大声で笑いながら

太陽の光を 背に受けて
こちらに向かって来る 男の一団は


全員 揃いの
まばゆいばかりに 真っ白な
紋付き袴に 身を包んでいた





その 圧倒感たるや

成人式会場の前で 賑やかに集う
新成人の群れが

一瞬 水を打ったように
静まり返ったホドだ





『お待たせ』





ポカンと 口を開けたまま
言葉を発しない私を 見て





『こもも~ お前
今日は ヤケにいい女だなぁ』





ほどなくすると
周囲が ざわめき始め

翔さん カッコいい~ と
女達の 黄色い声が あちこちから
湧き上がる





『一緒に 写真撮って下さい』





気付いたら 翔子の後ろには

女の子達が 私も私も と
ひしめき合うように
列を作っているではないか





『コイツも 一緒でいいかな』





翔子の胸にははにかむように笑う
カズヤの遺影





私が 好きなのは
コイツの こういうトコロだ





成人式会場に向かう前
カズヤの家に立ち寄った翔子は





『カズヤも やっと二十歳だな

おじさん おばさん
おめでとうございます』





顔を両手で覆って 泣き続ける
カズヤの両親に頼んで

遺影を 借りて来たのだと言う





『日本一の色男』



と 筆文字で大きく書かれた
ドコで買ったの? と
訊きたくなるような

大きな白い扇子を広げながら





『式が済んだらまず墓参りだぞ』





仲間達に笑顔で声をかける翔子は

この会場にいる
どの 新成人よりも
どの 男よりも


立派な大人で そして いい男だ





翔子 あんたはまさしく


『日本一の色男』だよ







続きは また明日





(´▽`) 男ノ友情ッテ イイヨネ