春の雪。 | そらいろ

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写真とガーデニングとワンコが好きで、そんな日々を綴っていきたいと思います。どうぞよろしくお願いいたします。

高校に入学して一か月のある夜、私は帰宅すると両親から身の回りの荷物をまとめるように言われた。夜逃げだった。

後でわかったことだが、父は友人の借金の保証人になり、債権者との話をつけるまでの間逃げてしまったために自身の経営していた設計事務所も不渡りを出し倒産、五千万という多額の借金を負うこととなったのだった。

 

それからは、今までとはガラリと生活が変わった。父は相変らず帰らず、母は夜はスナックに勤めるようになり、姉は親せきの家に居候することとなり、私が高校から帰ると小さなアパ―トには不登校になってしまった小学生の幼い妹だけが待っていた。

生活は苦しく、高校に持っていくお弁当のおかずがピーマンを炒めたものだけだった日もあれば、前日の残り御飯しかなかったためにそれを持参すると、昼には糸を引いてしまいそのまま蓋を閉じ、昼食が食べられなかったこともあった。わずかに千円の参考書を買って欲しいと母に頼むのに、一週間迷ったこともあった。

そんな日々の私の心の居場所は、放課後の部活、合唱部の練習だった。

美しく声を響かせる先輩たちに憧れ、そのハーモニーに自分の声が溶け入る時はなんとも言えず幸せを感じた。屈託のない明るい笑いに包まれた友人たちとのお喋りは楽しく、明日への不安も打ち消してくれた。

 

さて、そんなことを思い出す今朝は、どうやら鬱。人生って思うようにはいかなけれど、明けない夜はない、ですね。信じてその時を待つ、待てることが幸せなのかな。

 

今朝、外は雪が舞っています。