Amazonプライムビデオで「不滅のあなたへ」というアニメを見ている。


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あらすじ

観察者によって、地上へ"球"が投げ込まれた。その"球"はありとあらゆるものの姿をうつし、変化することができる。"それ"は石、コケへと姿を変え、南方から現れたレッシオオカミへと姿を変える。あてもなく歩き続けると、一人の少年に出会う。雪に包まれ、地平線がどこまでも続く世界で少年は一人で生活していた。少年は豊かな土地に夢を馳せ、旅を始めるも挫折。志半ば命が尽きる。"それ"は少年の姿を獲得し、あらゆる刺激を求め、歩きはじめた。その様子を、観察者は常に俯瞰していた。

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これがとても面白い。まあ面白いといっても「進撃の巨人」のような壮大なストーリーがあってその中に含蓄がある、といったタイプではなく、含蓄を骨にその後で肉付けを行ったような感じである。つまりありとあらゆるセリフに学びがある。


まあそもそも私は今第10話までしか見ていないので、壮大なストーリーがあるとかないとかはまだ言える段階にない。それでもこうして記事を書きたくなるほどには面白い。


私は進撃の巨人とかNARUTOとか、ゴリゴリの戦闘シーンがあるアニメも好きではある。いわば精神性が中学生で止まっているわけであるが、このアニメは比較的そういった激しい戦闘シーンはかなり少なめなので、そういったものが苦手な人…大人の精神性を携えた人には逆に勧められる。
「特に今見たいものもないし暇だなあ」という人がだらだらテレビで流しっぱなしにしておくには一番良いアニメかもしれない。
あ、ちなみにフシというのはこの物語の主人公、何度も何度も生まれ変わる存在につけられた名前である。


最近では私自身もこの「観察者として体験を味わう」という感覚が強い。何というか、体験の一つ一つが愛おしいのである。先ほどベビースターの封を開けそれを口に流し込もうとしたのだが、操作を誤りだいぶズボンの上にこぼしてしまった。そのかけら一つ一つ(〜←こんなやつ)を集めていたのだが、そのお菓子を拾う動作の一つ一つにすら愛おしさを感じるのだ。


最近では怒りや悲しみにもそういった感覚がある。とはいえそういったものも「ある程度は」というレベルであるからそんな生やさしいことが言えるのであって、身の危険が及ぶレベルの感覚であればそんなことは言えないだろう。実際に私は家がなくなって寒さに晒されたり、鬱病になって極度の苦しみを感じたりしたわけであるが、ではその感覚が「愛おしい」とか「その体験をするために生まれてきた」などとは到底言えなかったわけである。


であるからして、今の時代ありとあらゆる渾沌があり、生やさしい環境、肉体で生きている人も少ないであろうし、だからこそ無明庵EOの言うように「この宇宙からおさらばする」といったことが唯一の救いになるのかもしれない。
仏だとか神だとか悟りだとか不死だとかを求める衝動を「菩提心」と言ったりするそうだが、こんな時代だからこそ、苦しみが溢れているからこそそういったものを求める人は増えるのかもしれない…知らんけど。


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7話

「最近、思うんだ。なんで僕は僕なんだろうって? なんであの屋敷の子供に生まれなかったんだろうって?」(グーグー)

 

「ずっと、僕以外の誰かのように生きることを夢見ていた。夢は叶った……僕は、僕でない怪物になってしまった」(グーグー)

 

「知らないというのは、ある意味幸せなのかもな? 絶望しなくてすむ。お前がうらやましいよ」(グーグー)

 

「お金のためにフシを利用するなんて野蛮だ! いいかい、フシは何者にも代えがたい力を持ってる。そんな彼に出会えたことを、僕等は素直に感謝すべきだ!」(グーグー)

 

「お前がそうやって落ち込んでいる時間は、お前という人間を味わい深くしてくれる大切な時間だと言っとるんだ」(酒爺)

 

8話

「チャン君の言うことは正しい。家族ってのは、まず愛せるかどうかが大前提にあるんだ」
「僕だってそれを望む。だから、試してみて欲しい。僕の顔を見て、愛せるかどうか……」(グーグー)

 

「僕は、この仮面が無きゃ……」
「これが無いとなんだ? 人間でいられないってか?」(グーグー)

 

「いったい僕は、何を守ろうとしているんだ? 僕を……人間としての僕を思い出させてくれるもの?」(グーグー)

 

「僕があの指輪を使っても、しょせん怪物のままだけど、兄ちゃんなら、ただのロクでなしからまともな人間になれるかもしれない。怪物に、あの指輪は必要ない。僕……バカかな?」(グーグー)

 

「分かった……俺、グーグーいないと、大人になれない」(フシ)

9話

「私の人生に1人の時間というものは無いのよ。まるで1人の人間として認められていないみたい、あの家にいる限りね」(リーン)

 

「あなたってバカみたい。あなたが怪物でも人間でも私にはどっちでもいいけどさ。でもそれってどっちもあなたでしょ?」

「全部さらけ出すあなたも、隠さずにはいられないあなたも、どっちも変で好きだけどな。それがあなた、あなたはあなたよ」(リーン)

 

「もうどうでもよくなった。何されたとか、自分がどう感じたとか、別に許したとかそういうのじゃなくて……ただ自分の境遇に、興味が無くなった、それだけ」(グーグー)

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