九条山のキッド邸を出たのは夜の10時過ぎだった。

キャデラックの後部座席から

「タバコが・・・ホシイ・・・」と

D・ボウイが声をかけてきた。

車中は二人きり。

「オッケー」と返事を返し運転しながらタバコの販売機を探した。

すると、けあげの都ホテル前で販売機をみつけたので

そこを指差し「あそこで買いましょう」と応対すると、

「サンキュー」と、ボウイは笑顔で答え、「赤のマルボロー」の

空箱を差し出してくれたのだ。

それをもって販売機に、

小銭を(いくらだったか?当時は250円かな)を

投入し、赤いマルボロをボウイに手渡したのである。


D・キッドさんが大切にしていた「キャデラック」(クラシックスタイル)


そう。次の日から、後部座席の灰皿に溜まった吸殻は、捨てずに、

記念に残しておくことにした。