個人的にイマイチだったアニメ作品について、まとめて書いておこうと思います。

どれも、決して「腹が立った」「不快だった」って訳ではないんですよ。もしそうだったら熱を込めて酷評を書くので。

これらの作品は、なんというか、一般的な評判も悪くなく、良いところもあったと思うのだけど。

でも、自分には合わなかったのは仕方がない。良かったとは書けない…って感じの作品です。

好みは人それぞれなので。もちろんこれらの作品が良かった!という人もたくさんいるだろうと思います。そういう方は面白くない文章になると思うので、そっと閉じて頂ければと思います。

①「屋根裏のラジャー」

僕はスタジオポノック「メアリと魔女の花」がとてもダメで。

また、百瀬義行監督「二ノ国」もすごくすごくダメだったので。

正直、あまり期待せずに観たのです。

上にあげた2作に比べれば、格段に良い映画だと思いましたよ。

「メアリ」にゼロだったアニメーションの躍動感は感じられたし、「二ノ国」でイライラさせられたストーリーの破綻も特には見当たりませんでした。

 

原作の児童文学がある訳なので、ストーリーの大枠はちゃんとしてる。

子供だけに見える友達「イマジナリー・フレンド」の構図を逆転させて、想像の友達の視点から描くというアイデアも面白い。

主人公のラジャーやアマンダには、感情移入できる。脇役のイマジナリーたちも魅力的。

悪役が憎たらしく、ヴィランとして有効に機能している。

 

でも…観ていてまったく、心が動かされなかったんですよね。

何も感じなかった。終わりに近づくほどに気持ちが冷えていって、ただ疲れた…という感覚だけが残りました。

そこまで悪い作品じゃなかったと思うのだけど、ここまで響かないのは何でなんだろうな…と思ったのですが。

 

思ったのは…作り手の顔が見えない。

作り手が、この物語に込めて、届けようとしたものが何なのかが、見えない。

作り手にとって、この物語でなければならなかった理由が、見えない。

 

原作がある作品なので、原作のここに惚れ込んで、ここを今の子供たち(や大人たち)に届けたい、という思いがあるはずだと思うのですが。

なんだか…何も届かなかった。

ラジャーがああしてこうしてこうなった…というストーリーはわかったけれど、その物語を通して伝わるものが、何もなかった。

 

別に、高尚なメッセージじゃなくていいんですけどね。

想像って素晴らしい!でも、想像の友達は卒業して大人になろう!でも、何でもいいのだけれど。

イマジナリーの物語としては当然導かれるはずの、上にあげた2つの結論さえ、何も伝わってこなかったのです。

 

「原作をアニメにする」ということは堅実にやってるのだろうけど。

「この原作を映画にすることで、何を伝えたいか」が作り手から抜け落ちてるんじゃないのかな…と思ってしまいました。

単に僕に読み取り能力がないだけかも、しれないですが。

②劇場版SPYxFAMLY CODE:White

原作漫画は楽しく読んでるし、テレビアニメも楽しく観てます。

映画版はそれなりに楽しみにして、子供たちも一緒に家族で観に行きました。

まあ、それなりに…そこそこ楽しい映画だったんじゃないかな。

 

たぶん、人気アニメの映画版のハードルが最近上がりすぎなんですよね。「鬼滅の刃」あたりから。

本作は、むしろ昔ながらの懐かしい感じ

「テレビアニメの映画版」の、大味でざっくりしたあの感じ。

原作にないアニメオリジナル回になった時の、満遍なく卒なく作ったあの感じ。

 

ちょっと思ったのは、そんなに子供に媚びた作風にしなくていいのに…ということ。

「SPYxFAMILY」って、少年漫画であってもちょっと大人っぽい作風、オシャレっぽい感じが魅力だったんじゃないのかな。

映画版は…まさかのうんこネタ連呼で笑いを取ろうとするという。

別にわざわざ下ネタにしなくても、子供も楽しむのに…と思いました。アーニャが「うんこ」言うたびに劇場の子供たちが爆笑…と言うわけでもなく、なんだか冷えてたのも切なかったな。

③北極百貨店のコンシェルジュさん

これは評判もいいし、好きな人も非常に多い作品だと思うので。

だいぶ前に観たのだけど、まあ自分が対象のお客さんじゃないだけだ…と思って。

レビューも書いてなかったのだけど、このついでにサクッと書いちゃおうと思います。

 

アニメーションは良かった。画面もきれいで、軽快で、良いアニメだったと思います。

ただ、本作の中で描かれる「お仕事」が…僕にはどうにも、ステキとは思えなかった。

百貨店のコンシェルジュさんの職域を超えて、ワガママ放題押し付けてくるモンスター客たちの要望を全部聞いて、若い女の子が振り回される姿が、「お仕事がんばっててステキ」とは全然思えなかったんですよね…。

 

つーか、コンシェルジュさんがフロアをドタバタ走り回ってるデパートってイヤだな。

最後の方で明かされる、「絶滅動物への贖罪として、人間が絶滅させた動物に買い物を楽しませる百貨店」というのもピンとこなかったな。

人間の消費社会の犠牲になった絶滅動物を、人間の消費社会そのもののような「高級品の買い物」でもてなす…ブラックジョーク?と思っちゃうような気持ち悪さがありました。

…すいません、たぶんそもそも自分に向けてない映画を観ちゃったせいです。好みは人それぞれ、ということで…。

 

「屋根裏のラジャー」原作。原作を読めばいろいろわかるのかも…だけど、そこまで根性なかったです。

 

原作があるのにノベライズがあるという謎。