Star Wars: The Rise Of Skywalker(2019 アメリカ)

監督:J・J・エイブラムス

脚本:J・J・エイブラムス、クリス・テリオ

原案:コリン・トレヴォロウ、デレク・コノリー

原作:ジョージ・ルーカス

製作:キャスリーン・ケネディ、J・J・エイブラムス、ミッチェル・レジャン

製作総指揮:カラム・グリーン、トミー・ゴームリー、ジェイソン・マクガトリン

撮影:ダン・ミンデル

編集:メリアン・ブランドン、ステファン・グルーブ

音楽:ジョン・ウィリアムズ

出演:デイジー・リドリー、アダム・ドライバー、ジョン・ボイエガ、オスカー・アイザック、キャリー・フィッシャー、マーク・ハミル、アンソニー・ダニエルズ、ナオミ・アッキー、ドーナル・グリーソン、リチャード・E・グラント、ルピタ・ニョンゴ、ケリー・ラッセル、ヨーナス・スオタモ、ケリー・マリー・トラン、イアン・マクダーミド、ビリー・ディー・ウィリアムズ

①素晴らしい最終章

ああ…終わった。

本当に終わってしまった。

あの頃広げられた大風呂敷、壮大な9部作構想が、42年かけて、本当に9作も作って、終わってしまった。

 

いやあ…感慨深いですね。

エンドクレジットが終わって欲しくない!と思いました。

泣きはしなかったけど。スター・ウォーズだから、クライマックスは高揚感の中で終わるので。

でも、何度もウルウルきたし。シーンごとにおお…とシビれるものがあって、激しく気持ちを揺さぶられました。

 

今回はネタバレなしで行くつもりなので多くは語れませんが。

とりあえず結論を作に書いとくと、素晴らしかったです。

100点。満点。

もう、何の文句のつけようもない最終章でした。

 

ネタバレなしのつもりではありますが、良かったという理由を書くとどうしてもネタバレのさわりには触れちゃうと思うので、本当にまったく何の事前情報も入れたくない!という方はここまでにして、まずは観に行かれることをオススメします。

本当に面白いし、いろんなこだわりのある人も絶対に納得いく形になってると思うんで!

エピソード4-6が好きで、1-3が苦手だという人も。

4-6よりも1-3の方がむしろ好きだという人も。

7は良かったけど、8はイマイチだったという人も。

4-6も1-3も7-8も全部好きだ!という人はもちろんのこと。

本当に全方位に面白い、面白いだけじゃなく「納得がいく」作りになっていて、これちょっとすごいことだと思うので。

 

②「全9作の完結編」という目標を達成!

J・J・エイブラムス監督は、「次作は3部作の完結編であると同時に、全9作の完結編でもなければならない」ということを発言していました。

つまり、新3部作の完結編というだけでなく、エピソード4から6だけでもなく、エピソード1から3をも加えた、全9作のサーガすべての内容を受けて、結末をつける完結編でなくてはならない。

かなりハードルの高い目標だと思いますが、なんとそれを見事に達成しちゃってるんだから驚きです。

 

以前の記事で、僕はこんなことを書きました。

『つまり、血統的に閉じてしまわない開かれた物語を再構築しながら、スカイウォーカーの物語もその中にきちんと落とし込み、エピソード1-3の存在意義もしっかりと押し上げて、9部作をきれいに完結させるという、離れ業のような挑戦をしているのが、「The Rise of Skywalker」なのではなかろうか。』

 

これがね。達成されているんですよ! 恐るべきことに。

 

「血統の呪縛からの脱却」が、「フォースの覚醒」「最後のジェダイ」の大きなテーマでした。

「最後のジェダイ」では、レイがスカイウォーカーの血筋などではなく、無名の人の子であると明かすことで、スター・ウォーズが囚われていた「スカイウォーカー家の家系の物語」という縛りを解き、物語を自由にすることに成功していました。

今回は、レイの出自が明かされます。

レイは「無名の人」ではなかった…ということになるわけですが、でも「スカイウォーカーの血統の呪縛からの解放」というテーマは、変わらずに継承しています。

 

そして同時に、エピソード1-3の存在意義が、レイの出自に込められているんですね。

これはネタバレなしレビューなので、多くは書けないですが。

レイという主人公の気づき、恐れ、迷い、そして成長を通して、エピソード1-3で描かれたある要素が物語の中に位置付けられていく。

 

そしてその果てに、「スカイウォーカー」というものが新しい価値観を持って、我々の前に提示されることになるんですよ。

それが、「スカイウォーカーの夜明け」であるという。

いやもう本当に。すごいと思いました。

多くは書けないので、劇場で目撃してください、本当に。

③パルパティーンの物語の完結

今回、皇帝パルパティーンが満を侍して登場します。(予告編で出てるのでネタバレじゃないですよね?)

その扱いがね。とても見事でした。

冒頭の字幕の1行目で、皇帝復活…?というインパクトを示して、強引に今回の物語の芯となるところを共有させてしまう。そして物語はその前提で、始まるなりぐいぐい前へ進んでいく。

「フォースの覚醒」「ルーク・スカイウォーカーが消えた!」と同じ手法ですね。これができるのも、スター・ウォーズの強みなんですよね。

やっぱりJ・Jは上手い。スター・ウォーズをよく知ってる。

今思えば、ライアン・ジョンソンは冒頭の字幕を上手く使えてなかったものね。

 

ここへ来て急にラスボスを出してくるのは、場合によっては安易な感じになるのかな…という不安もあったんですよ。

これ、ある種の「デウス・エクス・マキナ」ですからね。いろいろ複雑になって膠着状態になったところで、より強くてより悪いラスボスが降りてきて、そいつを倒してなんとなく解決…という。

いや、でも、大丈夫でした。そういう安直さを感じさせる作りにはなってなかったです。

何より、大きなテーマと皇帝の存在が直結していて。

スター・ウォーズはエピソード1-6を通して、パルパティーンの物語でもあったんですよね。それに、最終的な結末をつけるものにもなっているわけです。

④愛情を込めて描かれるキャラクターたち

それぞれのキャラクターたちへの、愛情のこもった扱い。観ていて気持ちが良くて、嬉しくなります。

「出てるだけ」みたいなキャラクターがいない。みんなに見せ場がある。

 

レイが素晴らしいのはもちろんなんだけど、それはまた今度書くとして、やっぱりなんと言ってもカイロ・レン。本当に魅力的なキャラクター。

「フォースの覚醒」の頃はイライラした反抗期の少年みたいで、いかにも幼い印象だったんですが、3部作を経て見事に成長してるんですね。

今回、ちゃんと怖いキャラクターになっている。ダース・ベイダーを思わせるほどの、威圧感と実力を身につけている。すごいカッコよくなっています。

 

新3部作の成功の要因は、このアダム・ドライバーという優れた役者を得たことが大きいんじゃないかな。

「スター・ウォーズ」以外でも大活躍ですもんね。先見の明、素晴らしい。

刻々と変化していく、青年期の苦悩を体現してベイダーの仮面を被ったような複雑なキャラクターを、見事に演じ切っていました。

これ、アダム・ドライバーじゃなかったら感情移入の難しいキャラクターになってしまったと思います。

今回はカイロ・レンの集大成。あちこち本当にカッコいいです。

 

キャラへの愛情…という点では、「最後のジェダイ」で大活躍したローズは今回脇に退いています。

これ、ファンの間での不人気を反映したものにも見えて。そういう側面も、ないではないのだろうけど。

でも、きちんとテーマに則した起用という見方もできると思うんですね。「最後のジェダイ」はラストシーンが示すように、「選ばれた者ではない、多くの無名の人たち」が戦乱の中でどう生きるか…が重要なテーマになっていたから。

ローズは無名の人の代表だったんですよね。平凡な容姿も、そういう意味合いの込められたものだったから。

そのテーマは「最後のジェダイ」でしっかり描いて、今回はまた別のテーマが前面に出ているから、ローズの出番が少ないのも意味あってのことと思えます。

 

脇役といえば、今回C-3POの存在意義があるのも良かったです。戦いに勝つための重要な役割を果たす。

1-3でも7、8でも、割と「とりあえずいるだけ」という立ち位置になりがちだったので。

最後に来て、物語にしっかり絡んでくれたのは良かったです。

⑤完成度の高い完結編

レイアがらみのシーンは涙なくしては観られなかったし。

ルークもね。鼻が曲がっても、闇落ちしそうでも、ルークが永遠のヒーローであることはもう変わらないですね。

 

チューバッカピーター・メイヒューさんも亡くなったんですね。今年の4月に死去。

「最後のジェダイ」以降はヨーナス・スオタモに交代してます。今回はチューバッカも出番が多くて、見どころが多かったです。

チューバッカとレイアのシーンも、泣けました…。

 

ランド・カルリジアンは堂々とした貫禄で、なんか映画の緊張感の中では浮いていたけど、ランドはこれでいい!と思わされましたね。

ファンファーレと共に、おいしいところをさらっていきました。

ウェッジも出てましたよね。一瞬だったけど。こういうの嬉しいですね。

 

あとやっぱり、「レイが立つ」シーン!

めちゃくちゃ燃えるシーンになってます。目に、耳に、焼きつけましょう。

 

とにかく、完成度の高い完結編であることは間違いないと思います。

「最後のジェダイ」で一部に不評だった、ストーリー上の意味のわかりにくいところ、余計な回り道みたいなところも、なかったんじゃないでしょうか。

 

この間の文章でちょっと書いたように、僕はやっぱりどこまでも第1作の「スター・ウォーズ」(新たなる希望)が好きで、それが別格で、以降の続編たちはあくまでも「ファンの世界の中で展開していく派生作品」であると思ってはいるのですが。

でも、「全9部作の長大なサーガ!」というハッタリ、大風呂敷が、スター・ウォーズというジャンルの魅力の中心にあることもまた確かなことだと感じていて。

ブチ上げた以上、誰かが結末をつけなきゃならないわけで。当の本人のルーカスは投げちゃいましたからね。

 

そのあまりにもプレッシャーのかかる重責…何をやっても、必ず誰かに叩かれる分の悪い仕事…をやり遂げて、ここまできっちり終えて見せたJ・J・エイブラムスは、やっぱりすごい映画監督だと思います。本当に。

 

細かい部分はまたネタバレありのレビューで、おいおい書いていきたいと思います。

もしよろしかったら、そちらも見てやってください!

 

ネタバレ記事書きました。「レイの出自とタイトルの意味」はこちら

 

タイトル決定!「The Rise of Skywalker」の記事はこちら

邦題決定!「スカイウォーカーの夜明け」の記事はこちら

「スター・ウォーズ」の個人的な思い出の記事はこちら