ここ二日間くらいやたら「着物警察」という言葉をよく目にする。

この手の「◯◯警察」という、何かにつけて本流の説明をしてそれ以外認めない古典派みたいな人たちはどのジャンルでも一定数いるのだけど、言わんとしていることがわからなくもないことも多々ある。

結局◯◯警察の人もそうじゃない人も嫌だなーと、ちょっとでもそのジャンルをかじっていると思ってしまうレベルがある。

 

例えば俺であったら、和物のセットの寸法が不自然だとそれだけでその芝居を見る気がなくなる。障子が適当な寸法だったり、階段の蹴上が和装を一つも意識していなかったりとか。

不勉強というか無勉強なのが丸わかりだからだ。着物の合わせが逆だったらこの人着物着たことないでしょって思うのと同じ。

勉強していていじっていることも多々あるし、それはちゃんとわかる。例えば障子を一般のものより大きく見せる場合なら縦横の比率を変えたりはしない。なぜなら日本人の多くが慣れ親しんでその比率に対して無意識に記憶があるからだ。

花魁風みたいな和装でも不勉強にぴっちりとハイウエストとか生地が伸びた状態でオリジナルとか言ってる写真とか見ると、あーあ。何も勉強せずにかっこだけで囚われてるな。そしてそれがかっこいいと思っているけど知識ないの丸出しで死ぬほど格好悪いと思ってしまう。さらにキャストが今回の衣装はとか今回の道具はとかこれまた無意識無勉強にはしゃいでいるのをみてさらに絶望する。

今やSNS時代でこういう不手際が如実に見える。バレる。指摘される。それが作品を作っていていつも怖い。

ちなみに今までどういうことで揉めたかというと、一番凄かったのは蓄音機。蓄音機マニアの友人からいつも本物を借りているのだけど、作品は1930年代。借りたかった形は1920年代全盛期のもの。ということで、作家VS演出(俺)美術でバトル。

セットの世界観的には完全に1920年代のラッパ型蓄音器が生える状態だったのだけど、1930年代の最先端で言うなら確実に地味な四角い形の蓄音器になる。ただ、美術と俺的にはそれを高い金払って借りたところでお客様は正直わかる人はいないともう抗議。

モガ協会が後援についているからわかるという作家。結果、美術的な要素を取るためにセリフを一つ足すことにした。

「おーこれは1920年代型の蓄音器。こういうクラシカルなデザインのものをわざわざ置くとは。そしてこれはとてもいいものだ」的なセリフが追加された。言わばCD全盛期の時代にレコードをあえて置いているというようなセリフをつけ加えたのだ。

流石にもう少しスマートなセリフだったと思うけど。

 

その噂の蓄音器

 

※ちなみにこの上記男性(田中惇之)の着ているスーツも完全オーダーメイドで当時の雰囲気にしている。ボタンの間は懐中時計を取り出しやすいように隙間が多く取られ、ズボンは幅広でダンスを踊りやすいように作られている。

 

別の作品でもたくさんある。創作で桃太郎をやった時、「人間っていいな」を歌いながら村が一つ襲撃され虐殺し続けるというなかなかシュールな演出や、紐を使って移動することによって五芒星を描くなどをファンタジーSF要素をたくさん加えた作品だったのだけど、この野武士で出していた連中にツバなしの刀を持たせた。

そこを派手に突っ込まれた。桃太郎は室町末期から江戸初期に物語の軸ができているので、その時代にツバなしの刀はおかしいと言われたのだ。

その方は作品の話は一切しないでそこだけを話していた。つまりそこが気になるだけでみてもらえないのだ。

そういうことが多々ある。

逆の話もある。ITシリーズというIT業界を面白おかしく切り抜いた作品を作っていたとき、お客様で、全く知り合いでもなんでもない方なんだけど、この作品はリアルすぎて僕たちの闇を描きすぎていて凄い。でも途中から胸がつらくてつらくて見れなかった。と、30分以上熱弁を振るって帰られた方がいた。俺は当然IT企業で働いたことはない。でも作家は日常だったのでそこを二人でつめにつめた。キャストもほとんど専業の役者なので働いた経験はなかったがその世界を作った。

ディティールとはとはそういう作業のことだと思っている。

 

ITシリーズ「充電するリアリティ」

 

で、話を戻そう。

◯◯警察の話だ。俺としては、無勉強に対してすげー突っ込むのは正直OK。やれやれーって思っている。

だけど、一流クリエイターとかが崩していることはいいのではないかねー?

同じように、日本語の崩壊とかいうけど、スラングが日常語になることなんてどの言語でもしょっちゅうあることでしょ。ら抜き言葉なんて今や国内ほとんどそうですよ。同じように着物や他のことでも崩れている違うものが本流になる日が来てもおかしくないし普通のことでしょう。なので、そこまで厳しく取り閉まるのは「伝統の継続」ともまた違うと思うんだよね。

 

ということが書きたかったブログです。

そして私が一番気になったことを一つ。

昨日立川駅の駅前付近を歩いていると、女子高生3人組が目の前から歩いてきました。そしてその3人の足もとは全員スーパールーズ(それも1m級)でした。ねえ、また流行っているの?ルーズソックスの時代は帰ってきてるの?それともその3人組だけかしら?誰か教えてください。

ルーズソックスがこの世に出てきた頃高校生だったものより。

 

 

笹浦今後の予定

 

笹浦チーフディレクター・出演

虹の架け橋「SAVE THE KIDS PROJECT」

9/26 20時〜

@WEB→観覧申込

 

笹浦舞台監督

清月エンターテイメント

「ボクと7通の手紙」

10/1〜3

@秋葉原ハンドレッドスクエア倶楽部

 

笹浦舞台監督

骸骨ストリッパー

「蛇骸王STRIKE」

10/21〜24

@武蔵野芸能劇場

 

笹浦舞台監督

ヒロセプロジェクト

「彼女はきっと魔法を使う2021」

11/20〜23

@ラゾーナ川崎プラザソル

 

笹浦舞台監督

演劇なかま高円寺

「わが街 子ども食堂」

11/20,21

@座・高円寺2

 

笹浦演出

KとSプロデュース公演Entertainment Stage

「未来旅行社はじめました」

12/2〜4

@ラゾーナ川崎プラザソル

 

笹浦舞台監督

「社会人公演  hopestage vol.8」

12/12

@埼玉会館

 

笹浦舞台監督

Envision Nextage

「footprint vol.1」

1/10

@埼玉会館