「ちょっと相談があんねんけど。オカンが好きな楽器の名前を忘れたらしいねんな」
「えー?好きな楽器の名前忘れてもうて。どうなってんねんそれ。一緒に考えてあげるから、どんな特徴言うてたか、ちょっと教えてみてよー」
「縦長の箱の形してて、ペルー発祥の打楽器で、フラメンコの伴奏に使われるらしいねん」
「おー。カホンやないかい。その特徴はもう完全にカホンやないか、すぐ分かったがなー」
「でも分かれへんねん。おれもカホンと思ってんけどな、その楽器は音を出すのが難しいらしい」
「ほな、カホンと違うかー。カホンに必要な技術なんてないもんね。カホンに必要なのは手だけなんやから。イスみたいに上に座って叩くだけで音鳴りよるからね。もう一度詳しく教えてくれる?」
「コンガの親戚らしい」
「カホンやないかい。コンガとカホンは他人とは思われへんのやから。コンガの子供がカホンやねん。ほんで、コンガの弟がボンゴやねん。そんなんカホンに決まりやがな」
「でも、分かれへんねん。おれもカホンやと思てんけどな、その楽器は手に入りにくいらしい」
「ほな、カホンと違うかー。バイオリンやピアノと違って、カホンは、Amazonでお手軽に買えるからね。なんなら、Amazonの箱にうまいこと穴開けたら、カホンとして使えるようになるからね。ほんならカホンとちゃうがなー、他になんか言うてなかった?」
「イスとしても使えるらしい」
「カホンやないかい。カホンはほぼほぼイスなんやから。知らん人から見たらカホンはイスかカラーボックスかゴミ箱にしか見えへんねん。別名音の出るカラーボックスなんやから。そんなん、カホンに決まりやがな」
「でも、分かれへんねん。おれもな、カホンやと思てんけどな、その楽器の楽譜が読みにくくて挫折した人がおるらしい」
「ほな、カホンと違うやないかい。カホンは、高音と低音とタッチの3つしか音階が存在せえへんのよ。どうやってもその3つやから、楽譜スッカスカやねん。オーケストラのシンバルの人の楽譜の次に読みやすいねん。ほな、カホンちゃうがなこれ。もうちょっとなんか言うてなかった?」
「先祖がドラムらしい」
「カホンやないかい!ええか、カホンの親がコンガ、そのコンガの弟がボンゴ、コンガ・ボンゴのおじいちゃんがドラム。カホンのいとこがドラとタンバリン。ほんでコンガが日本に行ったときにできた子供が木魚やないかい。そんなもん完全にカホンやないか。」
「でも、分かれへんねん。」
「分かれへんことない。オカンの好きな楽器はカホンに決まりや!」
「でも、オカンが言うには、カホンって言うねん」
「ほな、しぬこさんちゃうやないかい。オカンがカホンではないと言うとるんなら、カホンちゃうやないかい。カホンの家系図、一生懸命説明してるときどう思ててん」
「申し訳ないなと。ほんでオトンが言うには、トライアングルちゃうかと」
「絶対ちゃうやろー もうええわ」