天気が良かったので、庭でお昼ご飯を食べてみた。
庭の大きな石に座ってカレーを食べる。隣には花がある。何の花かをばあちゃんが教えてくれたが忘れた。
良い臭いがする。その臭いにつられてか虻が私の周りを飛び回っている。羽音や風貌は蜂に似ているが攻撃的でないのを知っているので特に動じない。虻もそれを知ってか特に逃げる様子はない。どうやら嫌われてはいないようだ。
私の隣の花で数匹の虻も食事をし始めた。おいしそうに蜜を吸っている。次から次へと花を渡り歩く。もっと落ち着いて食事をすればいいのにと心の中で語りかける。
ふと地面に目をやると、一匹の虻が歩いている。
飛ぶことはない。なぜなら片方の羽根を失っているのだから。
一生懸命羽根を掻き鳴らしても、右に回転するだけ。
無い方の羽根があっただろう場所をしきりに前足で気にしている。
でも飛べない。私は虫の儚さを思い知った。
蟻が歩いている。もうそんな季節か。もしかしたらこの虻はこのままここで蟻の糧となってしまうのだろうか。
羽根を直してくれる医者はいないのだから。
それが自然の摂理だと分かっている。理解しているのだが、なんだか異常に悲しくなった。
自分の命も虻の命も同じ。同じ重さで同じ大きさで同じ色同じ形で同じ意味を持つものだと思う。
今の自分に幸福を感じた。
あの虻も元気に暮らしてると良いな。