とべないオウム カカポの繁殖方法
カカポは世界で唯一「レック」と呼ばれる繁殖方法を有するオウムである。オスがゆっくりと、「レック」という競技場に集まり、互いに、メスを魅了し、つがいになるべく競い合うのである。メスは「レック」に現れると、オス達の「ディスプレイ」を観察する。メスたちはオスのディスプレイのできばえに基づき、つがいになるオスを選ぶのである。すなわち、メスたちは他の普通の鳥のように、オス達によって個別に追い駆けられることはない。つがいになるためだけに、オス達とメス達が「レック」で出会うのである。
繁殖期になると、オス達は普段の縄張りを離れ、丘の上や地面が盛り上がったところへ集まり、メスとつがいになるための「庭」を形成する。これらの「庭」はカカポの通常の縄張りから7kmほどのところに形成され、「レック」の中では50mほどの間隔がとられる。オス達は繁殖期の間この「レック」の区域で繁殖期を過ごす。交尾期が始まると、オス達は巣を確保するために戦いに取り掛かる。オス達は逆立てた羽、広げた翼、開けたくちばし、立てた爪そして大きな金切り声と唸り声で、互いに立ち向かうのである。戦いは怪我によって終わるようだ。
複数のオスによって「レック」の地表に掘られる各々の「庭」は、深さ最高10センチ、長さ約50センチ(体長の半分ほど)の、一連のボウルのような落ち込みで形成される。各々の「庭」は、丘の頂上を中心とした半径約20メートル以内の範囲で、長さ約50メートルの小道で接続されている。オスはこまやかに「庭」の中と周辺のゴミを片づける。研究者が、「庭」が夜に使われているかどうかを調べる1つの方法として、「庭」の中に2、3本の小枝を置くことがある。オスが一晩のうちにその「庭」を使用しているなら、オスはくちばしでそれらを拾いに行って、それらを投げ捨てることが判明している。
メスを引きつけるために、オスは「庭」の中で、胸嚢をふくらますことによって、大きい低周波の唸り声でメスを呼ぶ。胸嚢が膨らみ、ボリュームが増幅された低いうなり声となる。一連のおよそ20回の大きな唸り声の後、一旦ボリュームは低下する。再びオスは頭を降ろして、その胸嚢を膨らまし、唸り声をもう一回発する前に、少しの間頭を下げる。唸り声は静かな夜には、少なくとも1kmにわたり響きわたり、そして、風によって5kmほどの遠くに響くことがある。オスは、一晩に平均8時間ほど唸り声をあげ続ける、したがって各々のオスは、この時間に無数に唸り声をあげると考えられる。この行動は毎晩3~4ヵ月の間続くと考えられる。この行動により、体重の半分を消費する。唸り声が異なる方向で出されるように、「庭」の窪みの中でたびたび向きを変える。
メスは、競争しているオスの唸り声に引きつけられる。そしてメス達も、なわばりからオス達のいる所まで数kmを歩く必要がある。そこで、一羽のメスは一羽のオスの「庭」に入る。オスは体を左右に揺らして、くちばしを打ち鳴らして騒ぐ「ディスプレイ」をする。オスは背中をメスに向けて、翼を広げて、メスの方へ後ろ向きに歩く。メスの前では興奮しており、メス以外のものにも交尾をしようとする。交尾のメカニズムに関してはまだよくわかっていない。一旦2羽が交尾をすると、メスは卵を産んで、ひなを育てるために自分のなわばりへともどる。オスはまた他のメスをひきつけるために唸り声をあげつづける。
メスは一度に1つから4つ程度の卵を産む。メスたちは、地上で草の茂みや樹木の洞に巣を作る。メスたちは抱卵は良くするが、毎晩、餌を探しに卵から離れることがある。そのため、捕食者によって卵が食べられることも多く、親鳥のいない間に卵が凍死してしまうこともある。卵は通常30日程度で孵化する。灰色のひなは、卵の時と同様、まったくの無力である。若鳥も成鳥と同様、捕食者に食べられることがある。ひなは羽が生えそろって10~12週間目くらいで巣立つ。巣立ったひなが成長し独立するにしたがって、親鳥も次の繁殖行動に取り掛かることができる。その時期はおよそ半年である。
長寿であるため、繁殖するまで「青春時代を楽しむ」のである。そのため生後9年から11年に経たないとオスはメスへの繁殖行動をとらない。繁殖までの時間が極めてかかるが、寿命は60年ほどであると考えられている。そのため、鳥の中では最も繁殖率の低い種である。果実のような餌が豊富な年しか繁殖行動をとらない。リムの木実は主要な食物になるが、この実は3年から5年毎にしかならない。このため、たとえばリムの木だけの森があるコッドフィッシュ島では、カカポの繁殖はまれに行われるにすぎない。
