最近のBL作品は体の繋がりに進むまでの設定がとても丁寧だ。
恋愛的な表現があまりないまま、真冬と立夏の日常が描かれていく。
しかし、真冬が初めてライブで歌った時、全身が引き締まるような苦しさで一瞬息が止まった。
そこで初めて、死んだ恋人と過ごした日々の記憶を教えられ、堰を切った様に涙が溢れ止まらなかった。
何十年、何百年、溜め込んで、溜め込んで、溜め込んで、溜め込んだものが、一気に噴火する感覚。
序盤から感じていた真冬の危うい儚さが、終盤で見事に開放された。
ストーリーの流れが奇麗で感情の表現のセンスも抜群。
楽しいだけじゃない恋愛の苦しいところを見せつけられると、自分の苦い過去も触発させられ痛くてしょうがなかった。
その中で前に進もうともがく真冬の姿に、届くはずがないと分かっていても手を伸ばし抱きしめに行きたい衝動に駆られた。
ギヴン
音楽への愛が冷めかけていた立夏の心を真冬が
過去の痛みを抱えた真冬の心を立夏が
お互いの存在が二人の世界を広げてゆく。
そんな二人のはなし。