郊外の風景を取材に出た恭子とクラークは国道をひた走り、とある峠にさしかかった。
「ねぇ、クラーク。この峠を越えたらスモールビルでしょ?」
「あぁ、そうだよ。おれの故郷だ。あそこは日本と少し風景が似ているんだ。キョウコにもきっと気に行ってくれると思ったんだ。ちょうど今頃は、収穫祭があって毎年、取材をかねて休暇を取るんだ。編集長の粋なはからいだがな。あれ、こんなところで渋滞なんて珍しいな」
「スモールビルって、昔、隕石が落ちたのよね?なんかの番組でやっていたわ」
普段は渋滞などしない峠道で恭子たちの乗った車は立往生してしまった。
「ねぇ、クラーク。こんなところで渋滞するの、おかしくない?ラジオで交通情報とか、やっていないのかしら?」
「う~ん。山の中じゃラジオが入るかどうか、あやしいなぁ…」
そのとき、恭子の携帯が鳴った。相手は2人の上司である編集長であった。
「もしもし?あ、はい。いま○×峠で渋滞にあっています。え?そうなんですか?わかりました。取材してみます」
「おい、どうした?」
「編集長からの電話で、この峠の途中で崖崩れがあって、トラックが巻き込まれているから、見に行ってくれって…」
「そうか、じゃ、おれ見に行くから、おまえは、あとからこい!」
クラークはそういうと車から飛びだしていった。
「ま、まってクラーク!カメラ!…。あ~あ、行っちゃった。そうか。そういうわけね。それなら、私がクラークの活躍を取材しなきゃ。車は置いていったほうがいいわね。あ、あそこに駐車場が…」
恭子は車を置きカメラを取り出し現場に急いだ。
「早く行かないとクラークの勇姿が撮れないわ。ようし、私も急がないと…」
恭子は駐車場の裏手に駆け込んだ。彼女は峠のはるか向を凝視していた。
「あ、いたいた…」
恭子はスーパーマンに変身をしたクラークの姿を見つけると、林の中をかけぬけ、谷を飛び越えて現場にかけつけた。
「あ、あそこなら誰にも見つからないわね」
恭子は崖崩れの現場を見渡せる小屋をみつけ、飛んだ。彼女はそこからカメラをのぞき、クラークの様子を見ていた。
そこではスーパーマンに変身をしているクラークが孤軍奮闘をしてたが、なにやら様子がおかしい。いつもなら大きな岩を軽々と持ち上げる彼が冷や汗をかきながら、岩をどかそうとしていたが、ビクとも動かないのであった。
恭子の耳には孤軍奮闘するクラークを励ます観衆の声が聞こえていた。
彼女はクラークが抱えている岩を凝視した。
「あ、この岩の中にはグリーンクリスタルが…。これじゃぁ、しかたがないわね。私の出番よ」
恭子はそうつぶやくと、ウルトラウーマンに変身をした。
「早くクラークを助けないと…。あ、トラックの運転手の方が先ね」
ウルトラウーマンに変身をした恭子は土砂に埋まっているトラックの前に降り立った。
「あ、運転席に運転手が…」
崖崩れの現場に突如現れたウルトラウーマンの姿に当たり一体は歓声があがった。
「おい、ウルトラウーマンが来たゾ!」
「彼女はジャパニーズか?」
「スーパーマンよりもたくましいぞ?」
ウルトラウーマンに変身をした恭子は群衆の声など気にせずに岩に押しつぶされた運転席の横に立った。
「クラーク!どいて!」
恭子はクラークを突き飛ばし、トラックの運転席のドアを引きはがした。
「あ、足が挟まっているわ」
恭子は岩に押しつぶされた運転席を押し広げ運転手を救出した。
「スーパーマン!彼を救急車に運んで!山の麓で渋滞に巻き込まれているわ!」
「だ、ダメだ。力が出ない…。空も飛べそうにない…」
「じゃあ、私が行くわ」
恭子はうずくまるクラークの姿を横目に見ながら運転手を抱え空へ飛んでいった。
彼女は空の上から渋滞に巻き込まれ立ち往生している救急車を見つけた。
「あ、あそこに…」
恭子は救急車の前へ降りた。
「救急隊のみなさん。あとはお願いします。早く戻って岩をどかさないと…」
恭子はそう言い水色のケープをひるがえし、飛ぼうとした瞬間に救急隊が呼び戻した。
「ウルトラウーマン。このままじゃ、麓に戻れないんだ。なんとかならないか?」
「この車の列ではしかたがないわ。ちょっと待ってくださいね。」
恭子はそういうと救急車を持上げた。
「それではこのまま病院に運びますよ」
恭子は頭上に救急車を持上げたまま、空を飛び救急病院の中庭に降りた。
「それじゃ、私、行かないと…」
恭子はケープをひるがえし空へ飛んでいった。
彼女は崖崩れの現場に戻り、岩をどかした。
「さぁ、これでだいじょうぶよ。みなさん、気をつけて」
「ありがとう。ウルトラウーマン。助かったよ」
恭子はグリーンクリスタルにやられてしまい、意識が朦朧としているクラーク抱き起こした。
「あ、もう1人助けないと…」
恭子はクラークを抱え空へ飛んでいった。
彼女はクラークを抱いたまま麓の駐車場に降りた。
「クラークが目を覚まさないうちに、元に戻らないと…」
恭子は元の姿に戻った。すると、同時にクラークが目を覚ました。
「キョウコ…。お、おれは、なんでここに?」
「ウルトラウーマンがクラークを助けて、ここへ…。もう、いいのよ」
そのとき、車の中の恭子の携帯がけたたましく鳴った。
電話の向こうでは編集長が怒鳴っていた。
「クラーク、スモールビルの取材はあとでいいから、すぐ戻れって…」
「そうか、仕方ないか…。この姿のままじゃメトロポリスに戻れないな。元に戻らないと…」
クラークはそういうと、コスチュームの上からシャツを着込んだ。
「クラーク疲れているでしょ?私が運転しようか?」
「キョウコ、おまえ運転できるんだ?でも、ここからじゃ、かなりの長丁場だぞ?」
「私、車の運転はできないけど、奥の手を使えばメトロポリスまで、すぐよ。ちょっと待ってね」
恭子は車の後ろにまわった。
「これで、どうかしら?」
車の陰から出てきた恭子はウルトラウーマンに変身をしていた。
「キョ、キョウコ…。おまえ…」
ウルトラウーマンに変身をした恭子の姿に、クラークは目を丸くしていた。
「さぁ、クラークは車に乗って。スーパーマンが車に乗ったままだと、笑われるわ」
恭子はクラークが乗り込んだ車を持上げた。
「さあ、メトロポリスまで、ひとっとびよ!」
…恭子とクラークは新聞社に戻った。
「どうだ?スクープ画像は撮れたのか?」
「い、いや、そ、その…」
クラークは頭をかいて下をむいていた。
その姿を見ていた恭子はカメラを取り出し、編集長に渡した。
「編集長。これ、現像してみてください」
「ん?わかった」
数分後、編集長が2人を呼んだ。
「おい!おまえら2人で、なにやってたんだ?これを見ろ」
編集長は現場にいた人がから投稿をされた写真を見せた。その写真では、グッタリとしたスーパーマンを抱き上げたウルトラウーマンの姿が写っていた。
「あ、こ、これ!」
そして、編集長は恭子が撮影をした写真を見せた。そこには、岩を動かそうと必死になっているスーパーマンが写っているはずだが、実際はスーパーマンは小さな赤い点にしか見えなかった。
編集長は恭子の写した写真を机にたたきつけた。
「キョウコ、おまえヘリでもチャーターしたのか?それはそれでいいが、こんな小さな写真じゃ、新聞に載せられないよ。まったく2人して…。もう、いい!」
2人はすごすごとデスクを出て行った。2人は屋上に上がって街を見つめていた。
「キョウコ、おまえカメラを持って山の上から写してたのか?」
「え、えぇ。私の目ではクラークが岩をどかしているのがハッキリ見えていたんだけど…」
恭子はそうつぶやきながら下を向いていた。
「ハハハ。ピックアップか。おまえカメラのレンズ、標準のままだっただろ?まぁ、2人して人助けをしたんだから、しょうがないか…。でも、キョウコは服を脱ぐと童顔のわりに、いい身体なんだな。駐車場で変身をしたときは、なんかドキッとしたよ」
クラークは、そういうと恭子の身体をマジマジと見つめていた。
-第4話おわり-
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