奥さんの郁子さんは独身時代、中学の音楽教師で合唱部の顧問。でも、それは仮の姿、秘密裏にスーパーウーマンとして事件・事故を解決する活躍をしていました。
今回はそのスーパーガール郁子さんの高校時代の話しです。
郁子さんは小学校3,4年生ぐらいからスーパーパワーが目覚め始め中学生になる頃にはスーパーマン並みの身体能力になっていたそうです。でも、パワーコントロールが完璧になったのは高校進学直前、高校に進学すると、オーラを完璧に消して、ごくごく普通の女子高生として暮らしていました。
でも、通学の時は遅刻しそうになると空を飛び、電車の中で痴漢に遭うと、痴漢の手を握りつぶしていたのは秘密です。
したがって、ハジメさんは郁子さんのことをかわいいけど、普通の女の子としか認識していませんでした。
彼には郁子さんの他に気になる女の子がいました。彼女の名は由美さん、剣道をやっていて体力測定の時に握力60kg越えを記録しクラスでも話題になっていました。見た目はメガネ姿に長い黒髪の至って普通の女の子、しかしその見た目からは想像を遥かに超えたスーパーパワーを秘めていました。
ある日、部活に勤しんでいる由美の前に制服姿の郁子さんが現れました。手には握力計が。
「由美ちゃん、ちょっときて」
郁子さんが由美を呼びます。
郁子さんは針が振り切れた握力計を由美に見せました。
「ちょっと、貸して」
ギュギュッ!!
バ~ン!
由美が握力計を握ると針でも飛んでしまった。
「どうやら私たち、同じみたいね
」郁子さんは由美にその大きな瞳でウインクをした。
「由美ちゃんは飛べるの?月じゃ近すぎるから木星まで競争しよっ!」
郁子は人なつっこく笑った。
「ちょっと待って…」
由美は剣道の面を脱ぎ、メガネを外すと、まとめていた黒髪をほどいた。そしてワンダーウーマンのように優雅に身体を回転させるとスーパーガールに変身した。
「さあ、これで準備はOKょ」
ビュン!!由美が先に飛び立った。
「あ、ずるい!待って!!」
郁子は制服姿のまま飛び立ち、2人の姿はあっという間に見えなくなった。ほんの数秒で2人は宇宙空間に飛び出していた。
彼女たちのスーパーマンをも遥かに凌駕する飛行能力では木星までもあっという間だった。
「由美ちゃん、やるわね。さすがスーパーガールだわ。この街のスーパーガールは由美に任せるわ。平和を守ってね
」そういうと郁子さんの姿は由美の前から消えた。彼女は亜光速で地球に戻ったのだ。
郁子さんは普通の女子高生として生活を送っていたが、数々の不思議な出来事が起こります。普段の郁子さんは電車で通学をしていますが、時々、痴漢に遭います。郁子さんはお尻を触る痴漢の手をそっと握り締めて「キャッ!痴漢!」とつぶやき、次の駅で痴漢を引きずり出しました。痴漢は郁子さんにつかまれた手を押さえながら、うずくまっていました。彼女はその超人的握力で痴漢の手の骨を粉砕していました。
郁子さんは交番で状況を説明していると、時間が経っていました。
「あ、こんな時間。すいません。学校に遅刻するので、これで…。痴漢さんは反省しているみたいなので、これぐらいにして下さい」
郁子さんはそういうと交番を出て、2,3歩助走をつけると軽く膝を曲げ地面を蹴り、ジャンプをしました。ただ跳んだのではなく、飛んだのです!彼女はグングン高度を上げ、あっという間に空へ消えていきました。
ある朝、郁子さんは駅まで歩いている時に、脱輪した高級車に遭遇しました。運転していたのは女性で、途方に暮れていました。郁子さんは女性に声をかけました。
「どうしたのですか?」
「飛び出してきた子供をよけようとしてハンドルを切ったら前輪が溝に落ちて…」
「この車、クラウンですよね?何とかなるかも…。すいません。手袋、持っていますか?制服が汚れると困るので…」
そう言いながら、郁子さんはジャージの上着を着ました。女性は赤い革手袋を郁子に渡した。
「まるで本物のスーパーガールみたいね
」赤い手袋をはめた彼女はバンパーに手をかけ腰を下ろし、一気にクラウンを持ち上げた。
ググググ…ドシン!!
クラウンは元通りに道路に。クラウンの持ち主の女性は信じられないといった表情でクラウンのタイヤと郁子さんを交互に見ていた。
「あなたは…?いったい…。その細い身体に…。信じられない…。あなたは誰
」「私ですか?この街のスーパーガールです
あ、もう、行かないと…。学校に遅れちゃう」郁子さんはそういうとジャージをカバンにしまい、スカートの埃をはたいた。
「じゃあ私、行きますから。今度は気をつけて下さい
」郁子さんはそういうと、空へ一直線に飛んで行った。
郁子、由美が3年になると、由美は剣道部の部長になっていた。部長で有るが故に大事な試合の時はどうしても抜けられない。その時は郁子が代打のスーパーガールとして秘密裏に活躍することもあった。ただ、郁子はスーパーガールとして活躍する時も制服姿。彼女が事件現場に到着すると目のパッチリした制服姿の女子高生が空を飛んできたと話題が持ちきりだった。
郁子さんの高校時代の最大のピンチは3年の時に起きた。地球に巨大隕石が接近していたのだ。このまま地球に激突すれば、この街はおろか、東京中が壊滅する恐れがあった。
もう、スーパーガールとして日本中、いや、世界中を駆け回っていた由美からテレパシーで郁子に叫びが届いた。交通事故でクルマの中に閉じ込められた怪我人をあっという間に救出し、銀行強盗の集団を10分で退治するあのスーパーガール由美からの悲痛の叫びだ!
「…郁子、すぐ助けに来て!私の力じゃあこの巨大隕石、止められない!早く!!…」
郁子は声が聞こえた方向の遥か上空を見つめていた。そこには必死で巨大隕石を止めようとするスーパーガール由美の姿が見えた。郁子の身体能力はすでにスーパーマンを凌駕すしていた。彼女はテレスコープで由美の姿を捉えた。
「たいへん、由美が!!」
郁子は街中のビル街にいたが、人目をはばからす地面を蹴った。
グングンと高度を上げ、あっという間に超高層ビルも飛び越え、宇宙空間に出ようとしていた。この瞬間、謎の飛行物体が東京上空で多数目撃された。それは亜光速で飛ぶ郁子の姿であった。スーパーフォースフィールドに護られた彼女の制服は宇宙空間に出ても平気だった。
「あ、郁子。た、助けて、私の力ではどうにもならないの?この巨大隕石。早くしないと地球が…」
そう言うか、言わないうちに郁子が巨大隕石に手を添えると巨大隕石の暴走が止まった。
「あなたのパワーっていったい…」
スーパーガール由美は信じられないといった顔をしていた。
「私のスーパーパワーは生まれつきみたい。ママが、私がまだヨチヨチ歩きの時、トラックの下にもぐってトラックを持ち上げていたって言ってたゎ。ついでにこの巨大隕石、破壊しておくわね
」郁子はそう言いながら、巨大隕石から距離を置いた。彼女の目が金色に光ると目からヒートビジョンが照射された。
バ~ン!
巨大隕石は粉々に破壊された。
「後の処理は任せるわね。スーパーガールさん!私は一足先に地球に戻るわ…」
郁子は踵を返し地球に戻って行った。宇宙を飛ぶ郁子の姿はあっという間にスーパーガール由美の視界から消えた。
こうして、地球の危機は2人のスーパーガールによって護られた。
-第1話完-
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