有馬記念やM-1 GPからまだ一週間も経っていないのに、
これについて今書くともはや「古い情報」のようになってしまう所が、
年末の怖さである。


わんわんM-1GP 2010

まず第一にスリムクラブに尽きる。
僕の中でのスリムクラブの認識が変わったM-1だった。


正直、エンタに出ていた頃は全く笑えなかった。
(それは演出上の問題もあるのかもしれない)
それもあって、今回の決勝メンバーの中で一番期待していなかった。
期待値が低かったからこその印象度のパワーもある。


基本的に、高速スピードの、テンポで言えば120以上の漫才が続く中、
ともすると、おぎやはぎや風藤松原、ポイズンガールバンド的なテンポの遅さが
M-1では通用しづらい中を、極端にテンポを落としてきた。
バラードレベルだ。
いや、バラードどころではない。
2小節くらいブレイクさせる感じである。


それに加えて、言葉の選び方がおもしろい。
2人のキャラも立っている。
まったく新しい形の漫才がまた出来つつある所で、M-1は幕を閉じた。


もちろん、笑い飯は強烈だったし、
9年も見ているから新鮮味に欠けるのは当たり前の事で、
もし初めて笑い飯が今年出て来ていたなら、
とんでもない印象を与えたに違いない。
陰謀史観を盛り込めばいくらでも盛り込めるが、
結果的にはこの10年を締めるとして「良かった」んじゃないかと思う。
漫才前PVの西田さんのペットボトル蓋顔には笑たなぁ。
凄く高度な漫才を高速スピードで噛まずにやっていながら、
最終的には「アホやなぁ」「子供の考えやがな」と視聴者に突っ込ませる余地をも残している所が芸人として素敵。


パンクブーブーもナイツも凄かったと思う。
両コンビとも言葉遊びの妙。
ナイツは、2010年時事ネタを選んだ勇気が凄い。
もう来年は使えないんだもの。
得意の「言いまつがい」を散々時事ネタで言った挙げ句、
後半部分で前半の「言いまつがい」をフリにして、さらに「言いまつがえる」という離れ業をやってのけた。
挙げ句、前年度までのネタすら「言いまつがえる」所まで昇華させた。


パンクブーブーも、ともすると前年度優勝を色褪せさせる可能性すらあるのに、
果敢にチャレンジし、ネタをパワーアップさせて帰ってきた。
台本にすると分かるが、
日本語という言語の「文脈の後半一言変えれば意味がまるで変わる」妙を突いたネタ。
ただし、これが言葉遊びとしては面白くても、笑いで大爆発までいくかと言うと、
それはまた違うという所が笑いの難しさだ。
また、聞いている側の「脳を使わせる」ので、2本目ともなると客が疲れてくる事と、脳みそとして「先の展開が読まれる」ことは痛かったと思う。
でも、新しい。


なかなか、最終年度はハイレベルなM-1だったんじゃないかというのが正直な感想。
新しいものが多かった。
新しい漫才が決勝に出ていた(それはジャルジャルやピース、銀シャリもそう)。
ジャルジャルは前から好きだし、相当新しいと思うが、
とんがっているのでコンテスト系だと評価されにくいのかもしれない。(まぁ十分売れているけど)

大会2日後に、スリムクラブ、銀シャリ、カナリアがいいとも!に出ていたが、
3組とも上手に溶け込んでいた。
特に、タモさんはスリムクラブ、銀シャリがお気に入りで、
ツッコミまくっていたし、銀シャリ橋本さんはタモさんや中居さんのボケに絶妙に、臆せず切り返していて株が上がったと思う。


馬第55回有馬記念
1ヴィクトワールピサ(デムーロ)
2ブエナビスタ(スミヨン)
3トゥザグローリー(ウイリアムズ)

11年前のグラスワンダー、スペシャルウィークの有馬記念を彷彿とさせる、
2cm差での決着となった(グラスースペシャルは4cm差)。
ヴィクトの鼻がちょっとデカいだけやん!みたいな話である。
2cmの差で関係者への賞金額はもちろん、馬券購入者の配当も相当変化したことになる。


総じて言えることは、今年の3歳は強い!こと。
15頭中6頭と出走馬が多かったこともあるが、その6頭が全て9着までに入った。
4歳馬で気を吐いているのはブエナビスタだけで、
そのブエナビスタが人気を背負って、
ウオッカの去った今年の競馬界を引っ張ってくれたものの、
3歳馬の勢いと強さは本物。


ヴィクトワールピサは強い。
ラジオNIKKEI杯、弥生賞の勝ち馬をナメてはいけない。
なおかつ皐月賞馬であり、ダービーで一番人気の馬である。
ダービーは3着に敗れたものの、
秋は果敢に凱旋門賞へチャレンジし、帰国してジャパンカップで3着。
と負けが続いていたが、それにしても着順を2桁にすることはなく、
有馬記念で優勝。
来年を引っ張る1頭であろう。


ゴール前の攻防を見ていると、トゥザグローリーが、グラスースペシャルの時のオペラオーにも見えた。
もしかしたらトゥザグローリーが来年は大化けするかもしれない。
ペルーサとて、大負けしたわけではない4着で、まだまだ来年飛躍するかもしれない。


なかなか役者が揃っている3歳。
来年の3歳は、大挙してディープインパクト産駒が出てくる可能性が高く、
それらが力を付けた上で、ジャパンカップ/有馬記念で今年の3歳世代と激突するであろう。
3歳と言えば、陰に隠れているが牝馬もアパパネが3冠達成したりして高いレベルだ。
非常に楽しみである。


ブエナビスタはどこまでチャレンジを続けるだろう。
女の子であり、5歳になることを考えるともういよいよ繁殖入りするかもしれない。

世代間格差がしっかり見え、来年が楽しみになる年末の大一番であった。