鴻上尚史 | ルノアール日録

鴻上尚史

日曜日、新宿の紀伊國屋ホールで「虚構の劇団」の『リアリティ・ショウ』(作・演出/鴻上尚史)を観劇。

遂にというかやっとというか今更というか、初めて観た鴻上作品。で、その想像以上の面白さに、鴻上尚史という作家を大いに見直す。

若い俳優陣の溌剌とした演技、ピチピチ感は勿論のこと、やはり作・演出・劇団主宰者としての鴻上尚史の“若さ”に唸らざるを得ない。

テレビ番組およびインターネットを媒介にして浮かび上がる、時に切実で時に残酷な人間の“欲望”のありよう。「劇団」という集団内部の人間関係、恋愛感情のすれ違い、劇中劇『ロミオとジュリエット』を用いたシェイクスピアのパロディ&“演技すること”そのものへの問い、更に性同一性“障害”やカルト教団といった今日的なトピックス……とてんこ盛りな内容を、センスいいコミカルさやダンス・シーンを交えつつ快調なテンポでエンターテインメント性豊かに描いていて、観応え十分。

尤も、ネタの盛り込み過ぎゆえか、些か消化不良気味な部分もあったのだが。

俳優では、バイセクシャル“野原”役の小沢道成、嫌われキャラ“隈川”役の三上陽永が印象的。

舞台から遠い席だったのが悔やまれる。もっと近くで、浴びるが如くに観たかった。