高田喜佐さんの靴 | ようこそ もぐ庵へ 

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座右の銘は『いいかげんは良い加減』
人生をなめている訳ではないけれど。

裸足のように大地を踏みしめるカジュアルな靴が好き。それを選ぶ飾り気のない生き方も好き」

 そう言っていた彼女の靴に初めて出会ったのは20年以上前だ。




 雑誌『クロワッサン』の企画で

 「履き心地よく、合わせやすく、きちんとした感じもある靴」を作った人が彼女だった。

 

 いくつかのデザイン中から、4cmヒール、ウエッジソールのオリーブグリーン

 の靴が気に入り、東急本店の『クロワッサンの店』で買った。

 『KISSA』の靴との出逢いだった。

 

  とても履きやすい靴で、以来、新しいデザインが出ると必ずチェックした。

  おばさまの靴なのに、遊び心の感じられるところが好きだった。

 

   

  この靴は、2、3年前に買ったもの。                                                                高田喜佐さんの靴

  ひと目で惹かれ、履いて惚れた。

  

値段も見ずに

   「これにします。」と言った。

     「はい、12000円になります。」

   「え?(ズックの上履きの値段じゃないわ、こりゃ)」

    と思いはしたが、もうあとの祭り。

     遊び心は、時に高くつくものである。




 

 2月16日、喜佐さんの写真を目にした。
 訃報だった。




 

  今日は、月命日だ。
 

 

 天国での喜佐さんの足元は、お気に入りの下駄だろうか、裸足だろうか、
 それとも、この靴を履いてお茶目に笑っておられるのだろうか。