大船遺跡(おおふね)

北海道函館市南茅部

2001(平成23)年 国の史跡に指定

2021(令和3)年「北海道·北東北の縄文遺跡群」として世界文化遺産に登録

縄文時代前期後半(約5,200年前)から中期後半(約4,000年前)頃に至るまでの大規模な集落遺跡


100棟を超える竪穴建物跡からなる住居域と大規模な盛土遺構がある。

竪穴建物は規模が大きく遺構の密度が非常に高いこと、約1,500年にわたり継続して集落が営まれ、特に後半期においては連続的に住居形態の変遷が捉えられていることが挙げられます。

南西には墓や貯蔵穴を含む100基以上の土坑墓群。北西には落し穴と遺物が分布している。


本資産は、定住発展期後半の祭祀場である大規模な盛土を伴う拠点集落であり、沿岸地域における生業と精神生活の在り方を示す重要な遺跡

集落は垣ノ島遺跡と同様同で海岸段丘上に立地

海を見下ろせる場所にあります。

竪穴建物跡は、床を深く掘り込んだ大型のものが多く、深さ2メートルを超えるものもあります。盛土からは膨大な量の土器や石器、焼土などが出土しており、長期間継続して祭祀・儀礼が行われたと考えられています。


大船遺跡の特徴は,住居の規模が大きく遺構の密度が非常に高いこと,約1,500年にわたり継続して集落が営まれ,特に後半期においては連続的に住居形態の変遷が捉えられていることが挙げられます。大船遺跡では深さ1.5~2m,長さ8~11mを超える大型住居が発見されていて,最も深いものでは深さ2.4mを測ります。これは安定した定住生活が営まれていたことを示しています。


大船遺跡では竪穴建物は建設順を再現

骨組み

骨組みはクリの木を使用し建てられている。


完全再現した竪穴建物


大型竪穴建物跡


盛り土遺構


〜出土品〜

クジラやオットセイの骨、炭化したクリや土器や石器などの生活道具のほかに、またクリ、クルミなどのかたい木の実やシカなどの肉をすりつぶす、石皿が大量に見つかっています。


当時の環境や生業、食糧事情を知る上で重要な資料も見つかっています。

また、周囲には豊かな海や森、サケが遡上する大舟川が流れるなど、当時を偲ばせる自然環境も魅力の一つです。 

大船遺跡から出土した品は函館市縄文文化交流センターで収蔵・展示しています。


石皿

管理棟の横に雑に置かれている石皿
それほど多くの石皿が出土したことが伺える。


クリの木

もともと北海道にクリは自生していませんでしたが、縄文時代に本州から持ち込まれ、縄文人に育てられクリが定着したと考えられています。


南茅部地域から出土したクリの年代は縄文時代前期(約6,000年前)以降のものであり,道内で最も古い時期の出土例です。


大船遺跡では住居跡から炭化したクリが200個ほど出土しており、縄文人の主要な食料であったと考えられています。また、竪穴建物の柱材のほとんどがクリ材であるなど、クリは縄文時代の重要な資源でした。


史跡大船遺跡管理棟

パネル展示多め