「お前の名前にしとけって!」
「いや、お父さんの名前で!」
「なんでやねん💢
ワシ、入婿やぞ!
山口の墓がある寺に
寄付すんねやから、
山口カナエの名でええねん!
ヒロカズて誰?てなるやんけ!
田舎はお前のことしか知らんのやから!」
「いや、女の名前でやったら、
ワテ、出しゃばってるみたいやん!
カッコ悪いわ!おかしいわ!
お父さんの名前にしとこ!
山口ヒロカズで!!」
「おかしない!山口はお前の家や!」
「あんたかて、山口やん!」
…私が5歳頃の記憶。
祖父母がこんなケンカを
しているのを横で聞いていた。
ウチのお墓があるお寺に、
六地蔵さんを寄付するらしい。
どっちの名前でするかで、揉めていた。
「こんなケンカあるんや
」
5歳の私には、とても不思議に思えた。
ええことって、
「ワシがやった」って
言いたいんちゃうん??
なんで、逆なん??
しかも、2人とも
すんごく意地になってる
なんかやっぱ、
ちょっと変わってるよな??
そんなことを思いながら、
言い合いを聞いていた。
「昭和52年 山口ヒロカズ寄贈」
六地蔵さんの裏にはそう彫ってある。
結局、カナエが勝った。
名誉は譲る。
でも、決めるのは自分。
それが祖母カナエ。
…強い。