それは、インフルエンザで痙攣を起こし、
救急車で運ばれた病院での出来事じゃった…
(唐突に始まる)
次女の夜中下半身すっぽんぽんになる脱ぎグセは、家の中だけでのことで人前でやったことは一度もなかった。
他人には迷惑をかけない、母のみが悩むだけのクセだったのじゃ。
しかし、この日は違った…。
次女はインフルエンザの処置として、点滴をされておった。
熱が下がったわけではなく
意識もなんとなくぼんやりしている中、待合室の長椅子で待たされていたのじゃ。
数時間かけて点滴がやっと終わる頃、次女は
長椅子ですっかり眠りこけておった。
身体がしんどく退屈な中、長時間大人しく待たせなくてはいけない状況であったため、母にとっては好都合じゃった。
そのまま、寝かせておった…。
二人のお医者様が今回の件について説明に来て下さった。
眠りこけた次女を横に母は何度もうなずき、話を聞いた。
そのうち。
次女が「うーん」と声を上げて寝ぼけだした。
椅子から落ちないかと、お医者様と母の目線は次女に移った。
その時であった。
次女がズボンを脱ぎだしたのじゃ…!
お医者様が見てる…!
母はあわてて声をかけながら履かせようとした。
しかし、母が止めれば止めるほど次女は
愚図りだすのじゃ。
唸りながらパンツまで脱ぎ、ついには
下半身が顕な姿になってしもうた。
そんな母と子の奮闘劇を、なすすべなく見守っておったお医者様が母をこんな一言で助けて下さった。
「大丈夫ですよ!インフルエンザのときの
こういう異常行動は珍しくないですから!」
それを聞いた母、すかさず言った。
(言ってしまった)
「これ、異常行動じゃなくて毎晩ある癖なんです…!」
それから、数分。
お医者様からの言葉はそれ以上なかった。
母は無言で落ち着いた娘のパンツを履かせ、
つい癖だと暴露してお医者様を二人もドン引きさせたことを悔やみながら帰って行ったそうな。
昔昔のお話…。
とっぴんぱらりのぷう。