■龍谷大学・瀬田キャンパス(滋賀県大津市瀬田大江町)

 

理工学部と農学部が入居する理系キャンパス。現時点では社会学部もあるのだが、こちらは間もなく深草キャンパス(京都)に移転する。

 

 

滋賀県と大津市の誘致を受け、琵琶湖南岸の文化都市ゾーンの核施設の一つとして、1989年に開設された。

 

緑に囲まれた27万平米の敷地に、日建設計による校舎群がゆったりと展開している。

 

 

ちなみにこのエリア、滋賀県立医科大学や県立図書館、県立近代美術館に立命館大びわこ・くさつキャンパスなどもあるのだが、それぞれの施設がかなり離れているうえに、公共交通網、つまりバスによる横の連絡がいまいちということもあり、「ゾーン」感はあまりない。

 

 

ま、それはさておき、日建らしい手堅く立派なキャンパス設計。

 

バナー(吊り下げ垂れ幕)による装飾が目立つのは立命館同様。

 

 

最初からそう言う設計だったのか、後付けでディスプレイ会社が入ったのか?

 

 

江戸の香り漂う深草町家キャンパス、明治擬洋風が圧倒してくる大宮、レンガ風タイル張りでなんだか戦後前川建築風+飯田善彦のウルトラ現代風の深草と、龍谷大学はキャンパスごとに全く異なる時代感を(意図しているわけでは丹とは思うけど)打ち出してくるのが特徴だが、そのあたり、瀬田は控えめ。

 

いわゆるポストモダン系だが、わりと控えめな感じ。ほどほど。

 

そんな中で異彩を放つのが、「樹心館」だ。

 

 

龍谷と言えば擬洋風、つまり大宮、という図式が出来ていると思うのだが、瀬田に行って見て驚いた。

 

こんな建物があるなんて。

 

 

いやまあ下調べをしてないだけなんだが、こんな建物があるってことを知ってる人、関係者以外は、あまりいないんじゃないだろうか。まあ、大宮が強烈すぎるってことで。

 

それはさておき、こちらは登録有形文化財。

 

元々は大阪南警察署庁舎で1885年落成。実は自慢の大宮講堂(1887年落成)より、2歳も年上だ。

 

庁舎建て替えに伴い民間への払い下げが決まったところ、大阪の門徒・竹田由松氏が購入して西本願寺に寄付。1908(明治41)年、工費約3万円をかけて龍谷大の隣に移築して図書館に。

 

 

1936(昭和11)年に新図書館が落成すると、またも移築して学友会(OB会)事務所に。さらに西本願寺宗務所として本山そばに移築。

 

 

そして89年、瀬田キャンパス開設にあたり、仏式礼拝堂建設として京都からまたもや移築されて1994年春、落成を迎えたという。

 

とにかくすごい色彩だ。

 

 

それはさておきどうでもいいことだが、龍谷大でググってみたら、瀬田キャンパス図書館の記事が出てきた。

 

89年のキャンパス開設時、図書館に最新鋭の大型汎用コンピュータ(いわゆるオフコン)のIBM3090システムを導入したそうだ。

 

 

正確なお値段は不明だが、ひとつ前のモデルが10億円ぐらい。

 

という化け物マシン3090のメモリーは主記憶128MB、補助記憶48GBだったそうだ。

 

そう考えると、このキャンパスもずいぶん昔の物のように思えてきたり、来なかったり。

 

なにはともあれ、ドームですよ。

 

 

 

  交通メモ

 

龍谷大学・瀬田キャンパス

 

住所: 滋賀県大津市瀬田大江町

 

JR瀬田駅から直通バスで7分。お隣立命館は、いったん瀬田駅に戻って立命館行バスに乗ることになる。滋賀大石山キャンパスと滋賀県立医大もそれなりに近くだが、やはりいったん駅に戻らないと移動できない。