■京都府庁(京都市上京区下立売通新町西入薮ノ内町)

 

ロケーションは、松平容保耕率いる京都守護職屋敷の跡地。

 

 

敷地の中央にはレンガ造ルネッサンス様式の旧本館。

 

 

1904年(明治37年)建造。東京、兵庫についで日本で3番目に新築相成った府県庁舎だ。

 

 

1971年まで本館として使われ、現在も一部は執務室に、一部は観光資源として一般開放されている。

 

 

設計は文科省技師・久留正道の監督下で、京都府技師の松室重光が実施。東京帝大卒の建築家で、府内に多数の建物を建てている。

 

 

建物的には、実にオーソドクスなルネサンス様式。庁舎建築は入り口周りだけ豪華で、あとは意外としょぼい建物が多いが、さすがは日本3番目。中や裏手もなかなか力が入っている。

 

 

とはいっても、豪華、というほどではなく、質朴って感じだが。

 

なんというか、致命的な痛み絵は無いが、結構傷んでいる感も感じさせる保存状況。

 

いずれ修繕工事が行われるだろうから、そこに期待だ。まあ、現状の傷み具合がたまらん、という見方もあるだろうし。

 

入り口。大理石の手すりがついた階段。

 

登っていくと、式典や公式行事が行われていた「正庁」へ。天井は漆喰塗の鏝絵。

 

各部屋の扉の上はペディメント付き。格が高い部屋の扉には、屋内でもついているらしい。

 

旧知事室も立派。ここから比叡山や大文字山が見えるそうだ。

 

 

旧本館は口の字型。柱が並んだ回廊が南面しているので、美しい陰影ができる。ヨーロッパの修道院のようだ。

 

 

 

先へ進んで旧議場へ。こちらも一般開放中。

 

 

1回が議場で2階回廊が傍聴席。

 

以前は物置的な執務室として使われていたが、盛時の姿に修復し、一般開放したとのこと。豪華なシャンデリアはその際に職人が手作りで復元したという。カーテンも復元品。

 

さて、隣にある4号館は文化庁に接収され、同庁本館となっている。

 

元々は県警本部で、1928年に府営繕課の十河安雄が設計した。見るからに昭和アタマの庁舎建築だ。

 

経歴は不明だが、府立医大旧図書館を始め、市内に数々の建物を残している。

 

  交通メモ

 

京都府庁

 

住所: 京都市上京区下立売通新町西入薮ノ内町

 

JR京都駅から地下鉄烏丸線で7分、丸太町駅下車。徒歩10分。駅から反対側に20分歩くと京都市役所。こちらもおすすめ。武田五一監修のインド・イスラムアレンジのバロックデザインだ。