■東京大学・本郷キャンパス前編(国立・東京都文京区)

 

前中後編の3回に分けて、東大・本郷キャンパスを散歩しようと思う。

 

まずは、正門から入場して、本郷キャンパスの西側エリアを攻略する。

 

「赤門」が正門だと思っている人も少なくないと思うが、赤門からさらに西に進んだ先に正門がある。

 

脇には擬洋風っぽい感じの門衛所。伊東忠太の設計。

 

 

 

正門の先には、銀杏並木が続く。遠く先には尖頭アーチが垣間見える。

 

 

両脇には、いかにも「大学」っぽい感じの校舎が立ち並ぶ。

 

東大総長を務めた大物建築家・内田祥三デザインによる、「内田ゴチック」と呼ばれるスタイルだ。

 

ずんずん進むと、尖頭アーチの正体判明。大学のシンボル、安田講堂だ。

 

 

設計は岸田日出刀。書類上は大ボスである内田祥三の設計となっているが、意匠面は岸田の主導だったとのことだ。

 

確かのほかの校舎と違い、かなりアバンギャルド。異様に幾何学的な垂直性のみ強調され、数少ない装飾もアールデコだ。

 

 

 

さてまあ、東大のメーンキャンパスというと、さぞかし歴史的建造物がいっぱいありそうな感じがするが、まったくそんなことはない。

 

古い建物でいうなら、京大の圧勝だ。

 

というのも本郷は関東大震災で壊滅している。そこで内田祥三の全体設計で、急いで再建した経緯がある。

 

そのことを踏まえてキャンパス内の校舎配置を見ると、なかなか面白い。

 

正門から入って左手に工学部事務棟、右手に法学部研究棟。

 

前へ進むと十字路に差し掛かかるので、右手に曲がれば図書館。

 

 

左手に曲がれば工学部講義・研究棟エリア。

 

 

曲がらずにそのまま進むと、左手に法学部講義棟、右手に文学部講義棟。

 

さらに進むと安田講堂。

 

戦前日本における、学問のヒエラルキーが何となく伝わってくる。

 

いや、内田祥三の頭の中でのヒエラルキーというべきなのか?

 

工学部エリアの広場には、日本建築界の恩人といわれるジョサイア・コンドルの立像。とりあえず、手を合わせてお祈りしてみる。

 

 

他にももう一人、お雇い外国人の像があるのだが、そちらは胸像。

 

やはりこの扱いの格差(コンドル推し)は、内田祥三の陰謀だろう。

 

法学部や文学部の校舎の中は、なんというか、正直、大したことのない作りだが、工学部校舎の中はなんだかアーチがぶんぶんしてたりして、立派だった。

 

 

実は工学部優位である(設計者の意図か?)。

 

そしてまあ、関東大震災でも倒れなかったのか、はたまた江戸時代から生え続けていたのか知らないが、とにかく太い銀杏の木が、どこへ行っても山盛りだ。

 

 

 

木々に取り囲まれるようにして、校舎が姿を見せる。

 

 

街灯もおしゃれな年代物風だしね。