■番外・宇部市役所(山口県宇部市)

■ついでに村野藤吾巡りも

 

1958年落成の市役所。うっすらと鶯色っぽいタイル張りの庁舎は、何とはなしに春っぽい。ような気がした。

 

 

 

残念ながら、まもなく建て替えが始まるらしい。後任は佐藤総合計画。山口ゆかりの事務所で、と言うことなのか。

 

 

 

山口県南部の工業地帯・宇部。その中心部はJR宇部駅ではなく、宇部新川駅にある。間違えないように。

 

 

駅から徒歩10分少々。

 

いかにも戦後早々の庁舎建築、と言った感じ。

 

実直で堅実。機能性。良い感じだ。

 

ちなみ、大通りを挟んで向かいに建つのが村野藤吾設計の旧宇部銀行。

 

 

思うに、街並みの中にあるのが似合う作りであって、ぽつんと建っていると、少し寂しい。気がする。

 

北側に少し行くと、こちらも村野藤吾設計のANAクラウンホテル(旧・宇部興産ビル)。

 

 

 

一目見て思い出したのが、佐藤武夫設計の東京都・中央区役所だ。

 

その佐藤武夫が作った事務所が、新しい市庁舎を設計する。

 

微妙な因果だ。

 

市役所の隣の公園には、なにやらプロレタリアートな像が建てられている。ある意味、村野好みだ。

 

 

村野藤吾は唐津出身の大物建築家だ。工業都市・宇部を取り仕切った地方財閥・宇部興産の経営者に気に入られ、この街に多数の作品を残した。

 

佐藤武夫は山口県西部・岩国市出身の建築家だ。

 

正確には名古屋生まれで、軍人だった父の転勤で各地を転々としたが、旧制岩国中学を卒業したことから、地元では岩国枠の偉人としてカウントされている。

 

早稲田建築の教授で、音響工学の専門家として世に出たが、設計デザイン力も抜群。モダニズムから伝統和風建築の復元まで、何でもござれだ。

 

大学を早期退職して作った設計事務所が現・佐藤総合計画で、ぶいぶい言わせている。