■神戸大学・深江キャンパス(国立・神戸市東灘区深江南町)
旧神戸商船大。2003年に神戸大と統合し、現在は海事科学部になった。
幹部航海士の世界では、東の東京海洋大と並ぶ名門だ。
源流となった学校の門柱が保存され、誇らしげに展示されている。
ということはさておき、キャンパスは実に良い。決して豪華ではないが、好感が持てる。
豪華客船でも漁船でも軍艦でもない。まさに商船のような大学だ。
でまあ、場所は阪神電鉄深江駅から徒歩10分弱。歩いてすぐ。当然、海沿いだ。
正門から入ると左手に2号館。正面に1号館。
1、2号館とも無愛想なモルタル白塗り仕上げの白いハコ。
だが、これが良い。
普段なら「レス イズ ボア(シンプルなのはイイんだけど、単調で退屈だよね)」と言いたくなるような物件だが、なぜかこの場所で強い日差しを浴びる姿を見ると、その機能本位なデザインと仕上げからは、むしろ潔さ、りりしさを感じさせられる。
航海士の夏服のようだ。
そういえば1号館、右端が塔になっていて、アンテナが立っている。
鹿児島大水産学部も同じようなデザインだったが、海洋系の学校のお約束なのだろうか。東京海洋大にはこんなんなかった気がするが。
右手には、海事博物館。
ま、他の建物も、なんというか機能本位。予算を掛けて美々しく飾った物はない。
しかしながら、ちょっとした工夫で味を出そうという気持ちは十分に伝わってくる。
つまり、タイルとか日よけブロックとかで。
逆に言うと、それがさっぱりした,涼やかなキャンパスを作り出しているとも言える。
プールはでかい。軒下には船。そんなこんなも商船大らしさだ。
ちょっと毛色が違うのが、比較的新築な総合学術交流棟。裏手はグラウンドを臨むウッドデッキになっている。
2号館は裏手に回ると、中庭を囲むコの字型校舎であることがわかる。
天文観測ドームも輝いている。
棕櫚?の並木が南国ムードな水槽実験棟を経て、南端の港に向かう。
まず見えてくるのは練習船「進徳丸」のモニュメント。
本来はまるごと保存する予定だったが、阪神大震災で破損し、一部を陸揚げして残すことになった。
その隣には現在の練習船「深江丸」が係留されている。振り向くと、交流棟や1号館の姿も見える。
港から見る1号館。なんだかタワーがりりしく、頼りがいを感じさせる。
最後にグラウンド脇、藤棚の下に設けられたベンチで一休み。
微風と共に、潮の匂いが運ばれてくる。
おまけ。
キャンパスと阪神高速の高架を挟んだ向かいに、厚生施設「養正館」がある。
1935年落成で、何というか表現派風の看板建築風ではある。
ゴージャス感はないのだが、工夫で魅せようという、神戸商船大魂?は強く感じる。現在は立ち入り禁止。
その隣は市立本庄小・中学校。洋館らしく見えるよう、デザインされている。
これを、安っぽいギミックと見るか、土地の「らしさ」を表現しようという壮図と見るか。
僕は後者だ。校舎だけに。