■番外・尼崎市役所(兵庫県尼崎市東七松町)
日本を代表する大物・村野藤吾設計の名物庁舎。
同市には最近、尼崎城も新築された。シンボルだらけだ。
それはさておき、尼崎市民には大変失礼な話だが、これまで尼崎(と甲子園球場)は大阪府にあると思っていた。
ほほう!ここは兵庫だったのか、と驚きながら阪神尼崎駅で降りたら、市役所は尼崎駅前に無いことも分かった。最寄りはJR立花駅だ。
というわけで、尼崎駅から30分以上歩いて北上。公園の緑越しに建物が見えてきた。
手前に低層棟、奥に高層棟、少し離れて議会棟という構成。
遠くから見ると、高層棟の正面はねずみ色のモルタル、横面は正面より明るい色彩の石張り(風?)のように思われる。
ずいずい近づくと、なんと、どっちもタイル張りでした。色は微妙に違うけれど。
さすが芸が細かい村野藤吾。
まずは低層棟から。
低層棟越しに高層棟を見ると、やっぱり見た目がシンボリックで格好良い。
高層棟が城の本丸に見える。
そんで、高層棟。
壁面ものっぺりとさせず、キュビズム建築のように張り出したりへっこんだりしている。
窓回りのクリーム色が、壁面にさらなる立体感とアクセント。
となりにある議会棟。直方体にはしない。横浜市立大講堂のように、亀甲感がある。
つなぐ空中通路は柱は細く、繊細に。
目立たない金具枠も、市販品で済ますことはない。
庁舎回りは、普段は堀になっている(行ったときは水が抜かれていた)。
これは河口デルタ地帯に作られ、「海に浮かんだ城」のように見えた尼崎城をイメージしたもの。管理担当は嫌がったが、村野が押し込んだという。
アイラブ尼崎な記念碑も立てられている。ハートの中から市役所を見上げる。
ラブ。
それにしても兵庫県は、阪神沿線からJR、阪急と北上するにつれ、びっくりするほど街の雰囲気が変わる。