■番外・山形県庁
有名なのは、1916年完成の旧県庁だ。田原新之助+中條精一郎の設計だ
中條は戦前の建築界の大御所で、慶大図書館など無数の有名物件を手掛けた曽根中條建築事務所を率いる大物だ。
旧県庁は現在、山形県郷土館(愛称・文翔館)として一般公開されている。
見ての通り、観光名所だ。
大変にルネッサンスな、ゴージャスな庁舎である。
鉄筋コンクリート造の擬石仕上げではなく、レンガ造の天然石張り。屋根は当然、雄勝のスレート。
周囲の敷地も広々と取られているため、距離を取って鑑賞できる。
庭園も整備されているので、そこからだと、陰影に富んだ緑豊かな表情も楽しめる。
となりに連結されている旧県会議事堂も見事。庁舎より石張りの面積は控えめにして、レンガの色合いを強めに出した。
と、いう旧庁舎も良いが、現庁舎もなかなかどうしてだ。
街中からタクシーで1500円ぐらいかかる。山形盆地の際に位置する。
白いサイコロの上に展望室が乗っている、これまた定番の庁舎建築。
とはいえ、単純な一枚板ではない。
中核となるサイコロの左右には、大きさと向きと遠近を異にするオプションパーツがくっついている。向かって一番右端のパーツなんか、一歩引いて陰から覗いているような感じ。
とても立体的で動的な配置で、ある意味、キューブなのにバロック?
設計は山下寿郎。霞が関ビルや岩手県庁、松戸市役所などで知られる。米沢出身で、伊東忠太の親戚だそうだ。
さて、展望室へ向かう。
グッドな眺望。
気分は三島通庸だ。