■群馬大学・太田キャンパス(国立・群馬県太田市本町)

SUBARU(旧・富士重工業)のお膝元、群馬県太田市。群馬県屈指、全国でも有数の工業都市での産学連携を見込んだサテライトキャンパスだ。 
 
まあステキ。 

 


 
山吹色のオーバードライブ的なカラーリングの箱に、細かい穴の空いたステンレス板、いわゆるパンチングメタルをカクカクと不規則に折り目をつけてうねりを出してぐるりと取り付け、表情を作った。 

 

 

 

こけおどし?奇を衒った? 

 


 
いやいや現物を見ると、なかなかありだった。 

 


 
建物自体はL字型。短辺は白灰色の四角いコンクリ箱で、長辺部分がカーニバルイエローにステンレス飾り付き。L字に囲まれたスペースは一般開放の芝生広場になっている。 

 


 
ちなみにこの広場、南と東を建物に遮られているので、日当たりは微妙だ。 

 


 
逆に言うと、時間帯によっては逆光で、建物の印象がさらにただ事でない感じになっている。 

 

 
神々しい。 

 


 
外廊下。 

 

 


 
キャンパスの広さはざっくり、普通の小中学校くらい。 
 
このキャンパス、元々は地元が「群馬筆頭の工業都市には立派な大学があってしかるべき。とりあえず金型学科を作ってくれ」「ライバル都市の桐生には群馬大工学部があるのに、ずるい!」と誘致に声を上げたのがきっかけで作られた。 

 
金型、というのはご当地産業の自動車を作るのに不可欠な部品で、特にこの地域で企業集積がすすんでいた。 
 
さすがに金型学科はマニアックすぎて無理だったが、めでたく生産システム工学科が桐生から移転してきた。 
 
しかしながら、いつのまにか学部再編ということで、生産システム工学科は名前を変えて桐生に戻ってしまった。 
 
現在は産学連携拠点のみが入るキャンパスとなっている。 

 

 
設計者は長谷川逸子。2008年竣工。 
 
菊竹清訓の弟子筋で、「パンチングメタルを見たら長谷川逸子と思え」という格言があるぐらい、パンチングメタルをド派手に使う。 
 
すぐそばに、同じく長谷川設計でイエローに輝く市営住宅もある。こちらもついでに、ぜひ。 
 
それから太田駅前には、太田市図書館・美術館。伊藤豊雄事務所から独立した京大教授の平田晃久による設計だ。 

 

 

どうやら太田市は、建築による町おこしを目指しているようだ。

 

太田を訪問して初めて知ったのだが、世界的に有名な建築教育機関「バウハウス」の日本校も誘致していたようだ。

 


 
あとはまあ、そばには旧金山図書館がある。大正時代の木造洋風建築だ。 

 


 

有名建築家の物ではないが、駅前のレトロフューチャーなタワー?マンションや、端正な群馬銀行も素敵だ。 

 

 

 
太田市北側は、昔からの歴史を感じさせる、いかにもな北関東って感じの町なみ、散歩も楽しめる。 
 
ここの名物は、太麺の太田焼きそば。 
 
駅から歩いて行けるところだと大和屋だろうか。ソースの色が濃いので味がきつそうに思えるが、意外に淡泊だ。 
 
治良門橋駅前の岩崎屋も有名だが、この店なら焼きまんじゅうもお薦めしたい。 
 
東武伊勢崎線で太田駅へ。都内から2時間ちょっとの旅だ。 
 

  交通メモ


群馬大学・太田キャンパス(国立) 


住所: 群馬県太田市本町 


北千住駅から東武線の有料特急「リバティりょうもう」で1時間10分。太田駅下車でさらに徒歩10分。時間の余裕があるなら、JR高崎線で東京駅から熊谷駅。そこからバスで太田駅へ、というルートもある。片道2時間半ぐらい。ついでに桐生も見ていきたい。いい町並みだ。