番外・長岡市役所(新潟県長岡市大手通) 
 

隈研吾の代表作の一つ。2012年供用開始。 

 


 
愛称の「アオーレ長岡」のほうが有名だろうか。 
 
アオーレは、長岡弁で「会いましょう」の意だ。 

 


 
僕はこの建物を見て、初めて隈研吾について「こいつ、ただもんじゃねえ!」と驚いた。 
 
行ってみればわかるけど、建築趣味的な意味合いから言えば立地条件は最悪だ。 
 
ある種の旗竿地みたいなロケーション。

 

 

大通りへの接道面は商店街アーケードに遮られている。 

 


 
つまり、どんな素敵なデザインにしても、外から十分な距離を取って見ることができないのだ。 
 
じゃあ隈研吾はどうしたのかというと、外観をなくした。 
 
シンプルで無表情な吹付タイル仕上げの外壁を、敷地のきわきわに建てる。

 

 

そのかわり、内側にたっぷりとした中庭を作った。 
 
なんというか、古代ローマのドムス形式というやつだ。 
 
もちろん閉鎖的なドムスとは違い、中庭は屋根付きの市民広場として一般開放され賑わいを見せている。 

 


大通りへの接道面がその中庭へのメーンゲートだ。 


中庭と言っても凡庸な「緑と水の公園風」なんかではない。 


無表情な外壁とは逆にとても賑やか。

 

 

隈建築ではお馴染みの、木製ソーラレイ・パネル(初代ガンダムのあれ。ソロモンを焼いたやつ)がいたるところに取り付けられている。 


透明樹脂板と木製パネルを入り交えた屋根。

 

 

トップライトから陽光が細かく強烈な光線に分割されて注ぎ込む。 

 


 
壁と杉材パネルの色の対比。 

 


 
光の粒子のようなテラコッタの壁面装飾。 

 


 
ご当地名物の長岡花火大会の夜空を連想してしまった。 
 
そんな賑やかさ。 

 


 
中庭ゾーンの先は屋内ホールだが、中庭と一体的に連結できる仕組みになっている。 

 


 
二階にはぐるりと回廊と広場が巡らしてあり、また違った視点から広場を見下ろすことができる。 

 


 
3階屋上にはこんなミニ空中樹園も。 

 


 
回廊や外部への連結通路も単純に伸ばしてあるわけではない。 

 

 
トップライトから光が差し込む部分、壁と屋根に囲まれた部分を交互に配置する。

 

 

光と影の対比で視野の明暗を締め上げている。

 

 

レンブラントのようにというと、褒めすぎか。 


外観を放棄したこと。光と影を中庭の主役に据えたこと。 

 


 
とにかく「ただモノではない!」。 
 
中庭には自由に使えるテーブルやベンチがパラソル付きで置かれているので、駅ビルのフレンドで買った新潟のB級グルメ「イタリアン」を食べる。 

 

 
これは焼きそばにミートソースがかかったもの。

 

繰り返すが、焼きそば味の焼きそばにミートソースをかけたものであって、ミートソース味の焼きそばではない。 

 


 
フレンドのほかにみかづきという店が有名で、正直、僕はみかづき派なんだけれども、両方とも大規模チェーンのくせして、残念ながら、みかづきは長岡にはない。  

 


 
それからソフトクリームを舐め舐め(フレンドはアイスと餃子もお勧めだ)ながら、近くに山本五十六記念館があるので、そこへも寄ろうかとも考える。 

 

 

  交通メモ 

 

長岡市役所(アオーレ長岡) 


場所: 新潟県長岡市大通 


上越新幹線停車駅のJR長岡駅から、歩いてすぐ。他にも長岡造形大学は見に行く価値あり。長岡技術科学大学も味がある。水道公園には、大正期の配水塔とポンプ棟が残されている。こちらも乙。