番外・中央区役所(東京都中央区築地1-1-1)
TOKYOの「中央」区。地番は「1-1-1」。
なんだかすごい。
早稲田大学大隈講堂の設計者にして早大建築学科の名物教授、さらには組織設計事務所・佐藤総合計画の創業者でもある佐藤武夫の手による庁舎だ。
1969年の竣工から半世紀が過ぎたが、取り壊さずに何らかの形で使い続けるとのこと。
遠目には、かなりごっつい濃茶色のハコだ。
にぎわう町中に突如、巨大なモノリスが登場したかのようにも思える。
だが近づくと、結構セクシーだ。
まずはエントランス。後付けだが、壁面緑化の緑がアーチ的なアクセントになっている。
有田焼タイルの濃茶色との対比が映える。
脇を見ると、単なるハコでないことがわかる。
角の処理は村野藤悟の日生劇場を彷彿とさせる。
壁面も、建物のわきではタイルの張り方を変えて縦線を作り出し、のっぺりとした表情にならないようにしている。
二本の巨大門柱がそびえ立つ。その向こう、日光を浴びて、つややかに輝く庁舎のタイルがセクシーでもある。
門柱の間を下り階段が通り、広場の向こうに京橋図書館(だった。現在は移転)。
そしてその後ろに、区役所の高層棟。
市役所の入り口は北向きで、こちらの図書館入り口が南側。
北側の市役所入り口は通りに直接、接続しているが、図書館側には門と広場が設けられている。
早稲田大教授でもあった設計者としては、図書館が「主」で、市役所は「従」ということだったのだろうか。
しかし、この有田焼タイルがいい。
日の当たり具合で、様々に濃淡、色を変える。
青空を映しこんで、青褐色に見えるときもある。
それはさておき、屋内執務エリアはというと銀行っぽい作り。
なお、そばにある銀座ブロッサム・中央会館も佐藤武夫の設計だ。区役所と一緒につくられた区営ホール。
あとはおまけに、近所の旧電通本社(丹下健三設計)などが並ぶ一角も散歩した。まもなく取り壊しの予定。
もう取り壊された後だろうか?
交通メモ
中央区役所(東京)
場所: 東京都中央区築地1-1-1
地下鉄有楽町線の新富町駅が最寄り。A・レーモンドの設計で知られる聖路加病院もそばにある。そのまま築地に出てもいいし、銀座をぶらぶらするのもいい。実にお散歩スポットだ。